薬の飲み方解説します 飲むのが良いのか悪いのか
はじめに
体の具合が悪くなり病院に行くと、必ず何かしらの病名を付けてくれます。慢性病として通院しているうちに、新たな症状を訴えると、薬が追加されます。
これを繰り返しているうちに、いつの間にか薬が増えていってしまいます。そして、気が付いた時には五、六種類の薬を飲んでいるというのが当たり前になっています。十種類近くの薬を飲んでいる人も珍しくはありません。
いつ頃この病気が良くなるのかと言う明確な説明もなく、医者と患者の関係が、薬を仲立ちとして、漫然と続いてしまっているのです。
慢性病の原因の殆どは内臓にあります。残念ながら西洋医学は、それに気づいていません。西洋医学は多くの場合、症状に病名を付けてしまい、そこに病気の原因が有るものとしてしまっています。
出された薬が原因の治療になっていないのですから、症状抑えは出来ても、慢性病を治す事は出来ないのです。従って、処方される薬は、増えこそすれ減ることはありません。
認知症患者が急増しています。既に、65歳以上の7人に1人が認知症患者と言われています。
多種類の薬を服用することが、認知症患者の急増につながっているという指摘も有ります。それだけに、多種類の薬を長期間飲み続けることは大いに気になるところです。
一般に、多種多様な薬が有るように思われています。しかし、働きの面から大別すると、薬はたったの6種類に分類できてしまいます。
それぞれの薬の働きを良く理解すれば、患者サイドとして、飲んだ方が良い薬と、飲まない方が良い薬との判別が付くようになります。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で薬の働きと、その飲み方について解説します。飲んで良いのか悪いのかが分かってきます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つです。
人間の様々な生理、病理を理解する上で大変有用な思想です。
全てのものに正反対の性質を持った陰と陽が有ります。
陰と陽は互いに引き合い、調和しようとします。一方、
陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。
磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は
引き合うのと一緒です。
◆鍼灸医学では人間は腎臓が出す 腎陰と腎陽 のエネルギーで生きる
西洋医学にこのような考えはありません。鍼灸医学独特の考えです。
◆腎陽は活動エネルギー
人間の活動エネルギーのもととなるのは腎陽です。
◆腎陰が人間が生きる土台を形成する
腎陽は活動エネルギーを出すことが出来ても、人間の土台を形成する事は出来ません。土台は腎陰が形成します。
◆腎陰の土台がしっかりしていて初めて腎陽は健全に働ける。
西洋医学には全くない考えです。身近な例を挙げて分かり易く説明します。
右手に小刀を持って鉛筆を削る事を考えてみてください。
当たり前のことですが左手で鉛筆を握っていなければ、右手の小刀と共に鉛筆は移動してしまい、全く削る事は出来ません。左手で鉛筆をしっかり握っているからこそ削る事ができるのです。
もし左手の力が弱ければ、いくら右手に力を入れても、左手の力を超えた処で鉛筆が左手から離れていってしまいます。つまり、左手の力を超えるる力で鉛筆を削る事ことは出来ないのです。
右手が腎陽、左手が腎陰の働きをしていると考えると分かり易いのです。動きとしては右手の腎陽が目立ちますが、動かない左手の腎陰の働きが無ければ腎陽は力を発揮出来ないのです。
もし腎陰以上の腎陽を出そうとすれば、鉛筆が左手から離れて行ってしまって、何処に行くのか分からない、収まりのつかない困った事になってしまいます。
これと同じことが心と体にも起こるのです。腎陰以上の腎陽を出そうとすると体に無理な負担を掛けることになり、色々な慢性病を引き起こすのです。
腎陰の働きは地味で目に見えにくいものですが、この腎陰の働きがあるからこそ、人は健全に生きることが出来るのです。つまり、腎陰が人間の生きる土台を形成しているのです。
◆ 病院で出される薬は大別すると以下の六種類になります。
薬1 抗菌薬
細菌を殺したり、ウイルスの増殖を抑えたりする薬
薬2 体内で合成している物質を補う薬
薬3 食品の代わりとなる薬
薬4 興奮剤
強心薬、利尿薬、抗鬱薬、便秘治療薬、去痰薬、尿酸排泄薬、など
薬5 鎮静剤
血圧降下薬、解熱鎮痛薬、頭痛薬、抗炎症薬、ステロイド薬、抗リウマチ薬、 睡眠薬、精神安定薬、抗不安薬(パニック障害治療薬)、抗躁薬、統合失調治療薬、抗てんかん薬、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、鎮咳薬、抗凝血薬、去痰薬、喘息発作予防薬、アレルギー治療薬、消化性潰瘍治療薬、過敏性大腸症治療薬、止血薬、糖尿病治療薬、甲状腺製剤、過活動膀胱治療薬、筋無力症治療薬、免疫抑制薬、食欲抑制薬、痔疾治療薬、止瀉薬、感冒薬、抗凝血薬、高脂血症治療薬、不整脈治療薬、など
薬6 抗がん剤
◆薬の働きを解説します。
・薬1 抗菌薬
急性感染症(肺炎、膀胱炎、腎炎など)にはとても有効です。しかし、慢性化し、抗菌薬を何回も使っていると、副作用の為、腎陰、腎陽の働きが低下し、体質が悪化していきます。かえって、感染症にかかり易い弱い体質になってしまいます。
・薬2 体内で合成している物質を補う薬
短期の服用で有れば、その間、体は楽できます。しかし、長期服用すると体は薬に依存してしまい、必要な物質を合成しようとする本来の機能が低下していきます。腎陰、腎陽の働きが低下し、かえって、病気が悪化してしまいます。
・薬3 食品の代わりとなる薬
短期服用であれば、その間、身体は楽できます。しかし、長期服用すると体は薬に依存してしまい、栄養を吸収しようとする本来の機能が低下していきます。腎陰、腎陽の働きが低下し、かえって、病気が悪化してしまいます。
・薬4 興奮薬
腎陽を刺激して興奮させようとする薬です。土台となる腎陰が少ない為、腎陽を増やす事が出来ない状態なのです。腎陰はそのままで腎陽だけをを増やそうとしても、腎陰に対して腎陽が過剰になるだけで、かえって不安定になり病気が悪化してしまいます。
・薬5 鎮静薬
腎陽を鎮めようとする薬です。他の薬に比べて種類の多さが際立っています。それだけ興奮性の病気が多いと言うことです。
慢性病の興奮状態は、腎陽が多すぎて興奮しているのではなく、腎陰が少ない為に、興奮しているように見えるだけです。土台となる少ない腎陰を増やさない限り、興奮状態は根本的に静まら無いのです。
長期に渡って鎮静剤を使うと、腎陰、腎陽の働きが低下し、かえって病気が悪化してしまいます。
一方、発作性の病気(喘息発作、脳卒中、心筋梗塞)を起こした時は鎮静薬は大いに助けになります。命が救われることもあります。
・薬6 抗がん薬
健康な人ががんになると言うことは有りません。不健康だからがんになるのです。不健康な体を健康な体に戻さない限り、がんが根本的に治ると言うことは有りません。抗がん剤を使って、がんがある程度縮小する事があっても、強い副作用で体質が悪化し、再発や転移する事になってしまうのです。
がんに関しては <人はなぜがんにかかるのか> などを参照して頂くとより分かり易いです。
まとめ
◆急性感染症(肺炎、膀胱炎、腎炎)と発作性の病気(喘息発作、脳卒中、心筋梗塞など)の場合、薬は大変有効に働き、命が救われることもあります。
◆急性感染症と発作性の病気の場合を除き、薬で慢性病が治ると言うことは無い。
薬は一時的な症状抑えにはなっても、慢性病の原因を治す事は出来ません。長期服用すると副作用の為、かえって、病気が悪化してしまいます。
多くの人が飲んでいる血圧降下薬について、一つの悪い例を紹介します。<血圧降下薬は、飲み始めたらずっと飲み続けなけばいけないものだ>と言う話は良く聞きます。これは言い換えれば、一生飲んでも高血圧は治らないと言う意味になります。
血圧降下薬は脳卒中と心筋梗塞の発症が少なくなって初めて飲む意味があるのですが、疑わしい点があるのです。
かつて血圧降下薬として日本で一番売れていた(当時売上高、年間600億円)ディオバンを製造販売していたノバルティスファーマ社が、臨床データの不正操作事件を起こし、2013年に営業停止処分を受けました。血圧は下がっても、<脳卒中や心筋梗塞が少なくなると言う働きは無かった>と言うのです。
長年、真面目に薬を飲んでいた人々にとっては全く気の毒な事です。血圧がある程度下がっていただけで、病気の予防にはなっていなかったのです。副作用を受けた分、体質は悪くなってしまいました。他の薬についてもこのような事が無いとは決して言い切れません。
かっては抗がん剤のクレスチン(当時売上高、年間1000億円)が抗ガン作用が全く無かったという理由で認可取り消しとなった例もあります。残念ながら、莫大な利益を生む薬には、常にこのような疑念が付きまとうのです。
慢性病を治すには体質改善する以外に方法はありません。化学薬品にそれは出来ないことなのです。
◆新たに薬が処方されたときは、飲む飲まないの判断を慎重に
薬を出さないという選択肢はお医者さんには有りません。今の日本の医療制度のもとでは、薬を出さなければ医療が成り立たないのです。
<この薬、飲まなくてもいいですか?>と、お医者さんに相談する訳にもいきません。患者サイドで病気と薬に関して勉強し、飲む飲まないの判断を慎重にし、身を守るしかないのです。
◆長期間飲んでいる薬を止める場合はリバウンドに注意
長期間飲んでいる薬をやめる場合、依存性のある薬の場合はいきなり止めるとリバウンドが出て危険な場合があります。期間をかけて減薬していく必要があります。自分で判断できない場合には、医療に詳しい信頼できる人に相談した方が良いでしょう。