自律神経失調症と診断されたあなた 本当の原因 予防法 食事法を解説します
はじめに
様々な不定愁訴(動悸、不安感、不眠、朝起きにくい、微熱、吐き気、倦 怠感、息切れ、耳鳴り、イライラ、頭痛、生理不順など)があり、病院に行き検 査してもらっても、特に気質的病変や精神障害が無ければ、自律神経失調症と 診断されることが良くあります。
<病名が付いたので、なんとかなるのかな>と思って、処方された薬を飲んでも、殆どの人は、治らないので困っています。
自律神経失調症とは、神経症やうつ病に付随する各種症状を総称した症状名であって、ちゃんとした病名ではありません。原因が良く分からないので、病院の先生は患者さんを納得させる為、とりあえず自律神経失調症ということにしてしまうのです。
ストレスや過労のため<自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れたのが原因だ>と言う説明を受けても、治せる薬がある訳では有りませんから、どうなるものでもありません。
鍼灸医学では腎臓のエネルギーで自律神経が働いているとします。また肝臓が神経を養っているとします。残念ながら、西洋医学は自律神経がどの様に働いているのか分かっていません。分かっていないことに気づいてもいません。
自律神経のバランスの崩れは、病気の<原因>では無く、腎臓や肝臓などの内臓の働きが弱った<結果>なのです。結果を原因としているのですから、治療が上手くいくはずはありません。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で自律神経失調症の原因、予防法、食事法を解説します。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の様々な生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽があります。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい、調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
◆人間は腎臓が蓄えている腎精で生きる。
<肝腎かなめ 肝腎同源>で既に解説したように、人間は腎臓が蓄えている腎精で生きています。
◆腎精から腎陰と腎陽が生まれ。更に、腎陰から腎陰陰と腎陽陰が生まれ。腎陽から腎陰陽と腎陽陽が生まれる。
つまり、腎精から物質である肉体と活動エネルギーの両方が生み出されるのです。 それぞれの働きを下記します。
・腎陰陰
物質である肉体を形成するエネルギーです。
腎陰陰が少なくなると痩せていきます。
糖尿病が典型的な病気です。
栄養分が腎臓から漏れ出てしまうのです。
・腎陽陰
精神、肉体を安定、沈静化するエネルギーです。
副交感神経を活性化します。
腎陽陰が不足すると精神が不安定になり、沈静化しなくなります。
躁病やパニック障害が典型的な病気です。
・腎陰陽
精神、肉体を活性化するエネルギーです。
交感神経を活性化します。
腎陰陽が不足すると精神、肉体が不活発になります。
うつ病が典型的病気です。
・腎陽陽
肉体の活動エネルギーです。栄養素が燃焼して出すカロリーです。不足すれば血糖値が下がり、体力が低下してしまいます。外出するのもおっくうになり、家で静かにしているのを好むようになります。
◆他の臓も腎精から陰のエネルギーと陽のエネルギーを生み出して活動しています。
・肝陰は肝臓を沈静化するエネルギー、肝陽は肝臓を活性化するエネルギーです。
・心陰は心臓を沈静化するエネルギー、心陽は心臓を活性化するエネルギーです。
・肺陰は肺臓を沈静化するエネルギー、肺陽は肺臓を活性化するエネルギーです。
・膵陰は膵臓を沈静化するエネルギー、膵陽は膵臓を活性化するえねるぎーです。
◆肝臓が神経を養う
肝臓が弱ると神経が弱ります。 帯状疱疹、顔面神経痛、顔面神麻痺、痺れ、肋間神経痛、坐骨神経痛などの神経に関わる病気になります。自律神経の細胞も弱るのです。
◆腎陰の土台がしっかりしていて初めて腎陽は健全に働ける。
西洋医学には全くない無い考えです。身近な例を挙げて分かり易く説明します。
右手に小刀を持って鉛筆を削ることを考えてみて下さい。
当たり前のことですが、左手で鉛筆を握っていなければ、右手の小刀と共に鉛筆は移動してしまい、全く削る事は出来ません。左手で鉛筆をしっかり握っているからこそ削ることが出来るのです。
もし、左手の握る力が弱ければ、いくら右手に力を入れても、左手の力を超えたところで、鉛筆が左手から離れて行ってしまいます。つまり、左手の力を超える力で鉛筆を削ることは出来ないのです。
左手が腎陰、右手が腎陽の働きをしていると考えると分かり易いのです。
動きとしては右手の腎陽が目立ちますが、動かない左手の腎陰の働きが無ければ腎陽は力を発揮出来ないのです。もし、腎陰以上の腎陽を出そうとすれば、鉛筆が左手から離れて行ってしまって、どこに行くのか分からない、収集のつかない困ったことになってしまいます。
◆腎陰を超える腎陽を出して無理して生きると慢性病になる。
同じことが心と身体にも起こるのです。
腎陰以上の腎陽を出して、無理して生きると、体に無理な負担を掛けることになり、色々な慢性病を引き起こすのです。
腎陰の働きは地味で、目に見えにくいものですが、この腎陰の働きがあるからこそ、人間は健全に生きていけるのです。
◆不定愁訴の原因
自律神経失調症と診断された時に良く現れる不定愁訴の原因を下記します。
・動悸、不安感
腎臓が弱り、腎陽陰が減少すると心陰が減少し心臓が過熱します。動悸し不安になります。
・不眠、朝起きにくい
腎臓が弱り、腎陽陰が減少すると、脳が過熱し、不眠になります。睡眠が不十分ですから朝起きにくくなります。
・微熱、吐き気
腎臓、肝臓が弱り腎陰陽、肝陰が減少すると微熱、吐き気が出ます。
・倦怠感
腎臓、膵臓が弱り腎陽陰、膵陰が減少すると倦怠感がでます。
・息切れ
腎臓、肺臓が弱り腎陽陰、肺陰が減少すると息切れします。
・耳鳴り、頭痛、イライラ、生理不順
腎臓、肝臓が弱り、腎陽陰 肝陰が減少し、肝陽が亢進すると、耳鳴り頭痛、 イライラ、生理不順が起こります。
◆予防法、食事法
内臓、特に腎臓、肝臓に負担がかからないよう、以下のような注意が必要です。
・ストレス、過労に注意する。
・適度に運動し、良い睡眠をとる。
・肉類、脂肪、タンパク質、塩分の過剰摂取に注意する。
・過食しないようにする。