イボと魚の目は熱の発散装置 何故出来る? 原因とメカニズムを解説します
はじめに
西洋医学ではイボと魚の目を以下の様に考えています。
イボは、ヒトパピローマウイルスに感染することが原因で出来る。
感染経路は不明。
魚の目は、足の平の皮膚のある一点に、長期間に渡って機械的刺激が繰りし加えられることによって出来る。
靴の形が足に合っていない、歩き方に癖があることなどが原因。
以上の西洋医学的考え方には、一つの大きな特徴が有ります。
イボと魚の目を、目に見える物質界の出来事としてしか見ていない点です。
当たり前の話ですが、人間は物質だけで生きているのではありません。
エネルギーで物質を働かせて生きているのです。
物質は目に見えますが、エネルギーは直接目で見ることはできません。
人間を取り巻く世界は、目に見えないエネルギーの世界である陰の世界と、目に見える物質界である陽の世界が対を成してできています。
人間の生理、病理に限らず、全ての事が陰の世界に原因が有り、その結果が陽の世界に 目で見える形になって現れてくるのです。
残念ながら、殆どの人がこの事に気づいていません。従って、多くの場合、結果を原因と誤解してしまっているのです。
イボと魚の目が何故出来るのかと考える場合も、陰の世界で何が起こっているのか、まず、考えなければなりません。
<目で見えない陰の世界であるエネルギーの世界で何かが起こったのが原因で、その結果、目に見える陽の世界である物質界に現れたのがイボと魚の目だ>と考えなければ正しく理解する事が出来ないのです。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】でイボと魚の目が、内臓で発生した過剰な活動熱の発散装置として、身体を守るために働いているというメカニズムを解説します。
陰の世界と陽の世界の因果関係が分かってきます。人間の生理、病理メカニズムをより良く理解することが出来ます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。
全ての物に正反対の性質を持った陰と陽が有ります。
陰と陽は互いに引き合い、調和しようとします。一方で、
陰と陰、陽と陽は互いに反発し合い、調和しようとしません。
磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。
同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
◆人間を取り巻く世界には陰陽がある
目に見えないエネルギーの世界が陰の世界です。
目に見える物質界が陽の世界です。
◆内臓にも陰陽がある
五臓(肝、心、膵、肺、腎)が陰です。
六腑(胆、小腸、胃、大腸、膀胱)が陽です。
◆エネルギーにも陰陽(陰気と陽気)がある
肉体を形成したり、緩めたり、沈静化、冷却するのが陰のエネルギ(陰気)です。
収縮したり、硬くしたり、活性化するのが陽のエネルギー(陽気)です。
◆熱にも陰陽(虚熱と実熱)がある
陽気が多くなくても陰気が少ないと熱が多いと感じます。
これを虚熱と言います。
陰気は普通にあっても陽気が増加すると熱が多いと感じます。
これを実熱と言ます。
◆体の前後にも陰陽がある
身体の前面が陰
体の後面が陽です
◆弱った内臓が無理に働くと過剰な活動熱が発生する
この過剰な活動熱が様々な病気の原因になります。
◆六腑の熱は体の前面に出す
陰の体の前面と陽の六腑は親和性が有ります。
従って、六腑の熱は体の前面に出てきます。
◆イボは熱を放出するのに効率が良い
突出した形状の物は熱を発散するのに効率が良いのです。
◆身体の前面にイボを作り胃、大腸、胆の過剰な活動熱を発散する。
イボが出来るのはほとんど身体の前面、で股関節以上、顔面、頭部を含む上半身です。腰部、背部にはほとんど出来ません。
実熱は下に降りることは出来ません。従って、足にもほとんど出来ません。
◆イボから内臓の過剰な熱を放出する事によって、内臓病や顔面、頭部の病気を防ごうとしている。
イボの出来ている場所から将来起こりそうな病気を察知することが出来ます。
◆イボは硬くなる
イボは陽気によって収縮し、硬くなります。
◆イボは大きさが大きければ大きい程、高さが高ければ高い程、色が濃けれ ば濃い程、熱の発散量は多くなる。
将来起こりそうな病気の重さの程度を察知することが出来ます。
◆人体の上下にも陰陽がある
足の平が陰
頭部が陽です
◆足の平には腎臓の経絡が巡っている。
足の平には腎臓の経絡のみが巡っています。
◆腎臓の虚熱が足の平に出る。
熱は下に降りることが出来ません。従って、足の平に出る腎臓の熱は虚熱なのです。
陰の足の平と腎臓の虚熱は親和性があります。従って、腎臓の虚熱を足の 平に出すのです。
◆足の平に魚の目を作り腎臓の虚熱を放出する
・虚熱は実熱ほどの熱を発散する勢いが有りません。従って、
イボを造るので はなく皮膚の中に、魚の目を導き入れ、熱の放出効率を良くしようとするのです。
・陰気が減少している魚の目は硬くなる。
陰気は肉体を緩め、柔らかくします。
魚の目は陰気が減少していますからイボよりもっと硬くなります。
・足の平は頭部と陰陽の対を成します。足の平で虚熱を発散するのは、過熱している頭部を冷まそうとしているのです。
・陰気は肉体を形成するエネルギーでもあります。従って、
足の平の中の細胞は収縮してしまい、厚みが薄く、弱くなっています。
其の為、体重がかかった時の魚の目の痛みは大変強く、つらいものが有ります。
まとめ
◆陰の世界(目に見えないエネルギーの世界)と陽の世界(目に見える物質界)の因果関係が分かると、イボと魚の目が内臓の過剰な活動熱の発散装置であることが良く分かる。
◆イボは胃、大腸、胆嚢などが弱り、発生する過剰な活動熱を発散し、内臓病 や顔面、頭部の病気を予防する為に出来る。
◆ヒトパピローマウイルスはイボ発生の誘因にはなっても原因では無い。
◆魚の目は腎臓が弱ることによって発生する足の平の虚熱を発散する為に出来る。
・虚熱は熱を発散する勢いが弱いのでイボではなく魚の目を造る
・過熱している頭部を冷ます働きがある。
・足の平の厚みが薄く、弱くなるのを防ごうとする働きが有る。
◆足の平のある一点に機械的刺激が繰り返し加わる、靴の形が合っていない、歩き方に癖がある、などは魚の目の誘因にはなっても原因では無い。