<死ぬほど苦しい気管支喘息> 原因は肝臓と腎臓ですよ! そのメカニズム解説します
はじめに
アレルギー疾患全体が増加しています。その中の一つである気管支喘息も増え続けています。気管支喘息は、全年齢に渡って発症する病気です。
1960 年代、気管支喘息の罹患率は大人も子供も約1 %でした。以前はまだ少なかったのです。最近の調査では、大人で約3パーセント、子供で約6%と増加しています。特に、子供の増加が目立ちます。
気管支喘息は、症状が無い時でも気道に炎症が起こっており、何らかの刺激(抗原となる、ほこり、ダニ、化学薬品、たばこの煙などや,冷気など)がきっかけで発作を起こす病気です。
軽い気管支喘息は咳ぐらいで済みますが、進行すると発作を起こすようになり、アレルギー性の激しい咳と痰が連続して出ます。気管支が狭くなるので、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音を伴い、大変苦しい状態になります。
ひどくなると呼吸困難におちいり、救急車を呼ぶことにもなる怖い病気です
治療としては、残念ながら、炎症を抑えたり、狭くなった気管支を広げたりする、症状抑えの薬物療法しかありません。従って、気管支喘息を根本的に治す事はできないのです。
気管支喘息は呼吸器に症状が出ますから、西洋医学的には、アレルギーと呼吸器に原因があると思われています。しかし、鍼灸医学の見方は以下のように全く異なるのです。
気管支喘息の症状には、以下に示すように、五つつの何故?があります。
・発作性で症状が激しい、のは何故?
・強い発作が起こるのは真夜中がほとんど、なのは何故?
・呼吸の呼(息を吐く)が苦しくなる(呼気性呼吸困難)、のは何故?
・気管が狭くなるので、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が聞こえる、のは何故?
・発作を起こすと、苦しくて横になっていられなくなり、上半身を起こしてしまう(起坐呼吸)のは何故?
これら五つの何故?が分かると、気管支喘息の真の姿がよりはっきりと見えてきます。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で、気管支喘息の原因とメカニズムを解説します。
気管支喘息の原因が肝臓と腎臓の弱りにあること、そのメカニズムと予防法、食事法も分かってきます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。
全ての物に正反対の性質を持った陰と陽が有ります。
陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。一方、
陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。
磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は
引き合うのと一緒です。
◆エネルギーに陰陽がある
陰のエネルギー(陰気)は、冷却する、鎮める、膨張する、緩む、伸びるという性質があります。
陽のエネルギー(陽気)は、加熱する、活発にする、収縮する、縮むという性質があります。
◆肝臓、腎臓、肺臓にも陰気、陽気がある。
個々の内臓もそれぞれ陰気、陽気があり、活動しています。
◆弱った肝臓が無理に働くと陽気過剰となり、アレルギーが起こる。
免疫細胞が(抗原などの刺激に)に対して、過剰に反応してしまうのが、アレルギーです。
弱った肝臓が無理に働くと陰気が減少し、陽気過剰となり肝臓が過熱し温度が上がります。
免疫細胞をコントロールしているのは肝臓です。肝臓の温度が上がると免疫細胞を制御できなくなって、過剰反応してしまい、アレルギーが起こるのです。
◆肝臓の温度が上がると、熱を持った血液が肺に送られ肺の温度が上昇する。
熱を持った血液が肝静脈、右心房、右心室を経由し肺に送られ、肺の温度が上昇します。
◆弱った腎臓が無理に働くと肺が過熱し、肺の温度が上昇する
弱った腎臓が無理に働くと、腎臓の陰気が減少します。
すると、肺の陰気が減少し、陽気過剰となり肺が過熱し、肺の温度が上昇します。
◆物質にも陰、陽があります。
酸素の陰に対して炭酸ガスは陽です。
◆呼吸にも陰陽があります。
・呼(空気を吐き出す)は肺の陽気で行います。陽気で肺を縮め血液中の陽の炭酸ガスを排出します。
・吸(空気を吸い込む)は腎臓の陰気で行います。陰気で肺を広げ陰の酸素を血液中に吸収します。
血液中に酸素を吸収するのは、場所は肺ですが、肺のエネルギーで行われているのでは無く、腎臓のエネルギー(腎臓の陰気)で行われているのです。
この働きを鍼灸医学では腎臓の納気作用と呼びます。
◆以下、五つの何故?のメカニズムを解説します。
・発作性で症状が激しい、のは何故?
発作性で症状が激しいのは、熱の病気の特徴です。
弱った肝臓、腎臓が無理に働くと、肺が過熱し、温度が上昇し肺炎を起こす危険があります。
肺の中の過剰な熱を抜き、肺炎になるのを防ぐ為に発作を起こすのです。
その為、激しい咳と呼吸を繰り返し、肺の中の空気をどんどん入れ替え、肺を冷却しようとするのです。
肺の温度が上昇していますから、アレルゲンに敏感に反応してしまいます。
アレルギー反応が(肺の熱を抜く為の)発作にスイッチを入れる役割を果たしているのです。
・強い発作が起こるのは真夜中がほとんど、なのは何故?
夜は陰、昼は陽です。陽の熱は夜の陰と親和性があります。
身体の過剰な熱は、陰の夜の時間帯に放出した方が放熱効率が良いのです。
肺の過剰な熱が増加すれば、肺の温度が上がり、終いには、肺炎を起こします。
放熱効率の良い夜が来るのを待って発作を起こすのです。
ひどい発作が起こるのは真夜中がほとんど、なのはその為なのです。
寝汗をかくというのも、身体にこもった過剰な熱を、放熱効率の良い夜に汗を出すことによって抜く、という熱の効率的な抜き方の典型的な例です。
・呼吸の呼(息を吐く)が苦しくなる(呼気性呼吸困難)、のは何故?。
肺の陰気が減少し、陽気過剰となるとなるので、肺が収縮し、楽に広がらなくなります。
縮まっている肺を更に縮めようとするのは、苦しいことです。
呼(息を吐く)が苦しくなるのはその為です。
・気管が狭くなり呼吸音(ゼーゼー、ヒューヒュー)が聞こえる、のは何故?。
肺の陰気が減少し、陽気過剰となるので気管が収縮し狭くなるのです。それで呼吸音が聞こえるようになるのです。
空気の通り道が狭くなるのですから、なおのこと呼吸は苦しくなります。
・発作を起こすと、苦しくて横になっていられなくなり、上半身を起こしてしまう(起坐呼吸)、のは何故?
熱は上昇します。従って、上半身を起こした方が肺の放熱効率は良くなります。
放熱して肺の温度を下げ、少しでも過剰な陽気を抜いて肺を肺炎から守ろうとするのです。
肺は下に向かって膨張し空気を吸い込みます。
従って、上半身を起こしたほうが、肺の重みが下にかかるので、吸い込み易くなり、呼吸が少しでも楽になるからです。
まとめ
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で、気管支喘息の原因が肝臓、腎臓の弱りであることを解説しました。
気管支喘息の五つの何故?も含めて、そのメカニズムも解説しました。
簡潔にまとめると以下のようになります。
◆弱った肝臓と腎臓が無理して働くと、肺が過熱し肺炎を起こし易い状態になるのが原因。
・肺の熱を抜き肺炎に罹らないようにする為、気管支喘息発作を起こし肺の熱を抜こうとする。
・肝臓が弱り、免疫細胞を制御出来なくなった時に肺の中で起こる、アレルギー反応が発作の直接的な引き金になっている。
気管支喘息の予防法、食事法の注意は下記のとうりです。
体質改善をすることにより、発作を軽くすることが可能です。
・アレルゲンがあれば、それを取り込まないに
・肉類の過剰摂取
・脂肪(食事、洋菓子、菓子パン、スナック菓子、ナッツ類など)の過剰摂取
・アルコールの過剰摂取
・カロリーの摂り過ぎ
・塩分、タンパク質の過剰摂取
・過労、ストレス
・睡眠不足