<精神>って、腎臓と心臓のことなのですよ!
はじめに
鍼灸医学は、一般に、難解であると受け止められています。なぜなら、主張するほとんどのことが、現代科学で証明出来ないからです。基本である、ツボや経絡の存在すらも証明出来ていません。
世界には、目に見える世界と、目に見えない世界の二つがあります。目に見える世界より、目に見えない世界の方が、はるかに広大無辺です。
目に見える全ての現象は、目に見えない世界で、「何かが始まった」のが原因です。人に見えている現象は、その原因によって起こった結果なのです。
現代科学は、可視(数字、映像)化出来ないものは、「科学的に証明できない」という理由で認めません。
目に見えない世界に目がいかないという、現代科学の「悲しいまでの幼児性と独善性」がここにあります。残念かつ不幸なことです。
精神という言葉は、日常的に大変よく使われる言葉です。精神と肉体と言うように、対にして使われる場合も多くあります。
精神はエネルギーです。容易に目に見えません。肉体は物質です。簡単に目に見えます。この真反対の二つが一体となり、人が出来上がります。
物質である肉体は目に見えますから、分かり易いです。字も肉と体という分かり易い字からから成り立っています。
エネルギーである精神は、直接、目に見えないだけに、分かりにくいです。 精と神という難しそうな字から成り立っています。従って、なおさら分かりにくいのです。
しかし、それによって発露される現象は目に見えます。従って、直接、目に見えない精神であっても、それを、うかがい知ることは出来ます。
精神という言葉の、由来と意味については さまざまな解釈がなされています。しかし、なるほど納得!と思われるようなもは、なかなか見当たりませんりません。
なぜなら、精神という言葉が針灸医学に由来していることを、鍼灸医学を志す一部の人間以外、知らないからなのです。
鍼灸医学では五臓(肝、心、膵、肺、腎)は夫々、五精(魂、神、意智 、魄、精志)を貯蔵しているとします。内臓と精神が密接な関係にあるとしているのです。
現代科学に基づく、西洋医学一色に塗りつぶされた現代では、残念ながら、鍼灸医学の考えが表に現れるということは殆どありません。
本ブログでは易と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で精神という言葉の由来と意味について解説することとします。
鍼灸医学の生理、病理を理解すると、腎臓と心臓が、人が生きる上で、いかに大切な働きをしているのか分かってきます。
◆腎臓は精を、心臓は神を貯蔵している
鍼灸医学では、 五臓(肝、心、膵、肺、腎)は 月(にくづき)に蔵と書くように、臓の中に大切な何かを貯蔵しているとします。
鍼灸医学では「腎は精を蔵す」と言います。腎臓は精を貯蔵しているとするのです。 又、「心は神を蔵す」とも言います。心臓は神を貯蔵しているとするのです。
つまり、精神という言葉は、腎臓と心臓が、その中に貯蔵している、精と神を組み合わせて出来た言葉なのです。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽が有ります。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
◆精神は陽、肉体は陰
目に見える肉体は陰、目に見えない精神は陽です。
陰の肉体と、陽の精神が調和して一体となり、人が出来上がります。
◆腎精が精神、肉体、エネルギーのおおもと
両親から頂いた先天の腎精と、飲食物と大気から作り出される後天の腎精の二つが合わさり、腎精が形成され、精神、肉体、エネルギーのおおもとになります。。
◆腎精から腎陰と腎陽が生まれ。更に、腎陰から腎陰陰と腎陽陰が生まれ。腎陽から腎陰陽と腎陽陽が生まれる。
それぞれの働きを下記します。
・腎陰陰
物質である肉体を形成します。腎陰陰が少なくなると痩せていきます。糖尿病が典型的な病気です。栄養分が腎臓から漏れ出てしまうのです。
・腎陽陰
精神、肉体を安定、沈静化するエネルギーです。副交感神経を活性化します。腎陽陰が不足すると精神、肉体が不安定になり、沈静化しなくなります。躁病やパニック障害が典型的な病気です。
・腎陰陽
精神、肉体を活性化するエネルギーです。交感神経を活性化します。腎陰陽が不足すると精神、肉体が不活発になります。うつ病が典型的な病気です。
・腎陽陽
肉体を活動させるエネルギーです。飲食物が燃焼して出すカロリーです。不足すれば血糖値が下がり、活力が低下してしまいます。外出するのもおっくうになり、家で静かにしているのを好むようになります。
◆神は腎精より生み出され、人の精神、肉体、エネルギーを統括(コントロール)する。
心臓に貯蔵する神は腎精より生み出されます。そして精神、肉体、エネルギーを以下のように統括します。
・神は脳を通じて精神全体を統括(コントロール)する。
神は脳を通じて思惟、意識、五精(魂、意智、魄、精志など)をコントロールしています。
従って、神が不足すると、精神を上手くコントロール出来なくなります。
神が極端に不足すると、精神がコントロール出来なくなり、人として機能しなくなってしまいます。
五精については以下のブログを参照願います。
・神は脳を通じて五感を統括(コントロール)する。
神は脳を通じて五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)をコントロールしています。
神が不足すると、五感を上手くコントロール出来なくなります。
神が極端に不足すると、五感がコントロール不能となり、人として機能しなくなってしまいます。
・神は脳を通じて肉体を統括(コントロール)する。
神は脳を通じて、肉体(動作、運動,ふるまい、態度、しぐさ、など)をコントロールしています。
神が不足すると、肉体を上手くコントロール出来なくなります。
神が極端に不足すると、肉体がコントロール不能となり、人として機能しなくなってしまいます。
あとがき
腎精から神、精神、肉体、エネルギーが生み出され、 神が精神、肉体、エネルギーを統括(コントロール)して生命活動を営むというのが、鍼灸医学の生理観です。それほどまでに、腎臓の精と心臓の神の働きは大きいのです。
西洋医学の生理観とは、あまりにも大きな違いです。精神疾患を肉体とは切り離し、精神科やメンタルクリニックなどで診るという西洋医学の今の在り方は、ほとんど無意味なのです。
医療関係者で、精神という言葉の本当の由来や意味を知っている人が、果たして、どれだけいることでしょう。西洋医学と、どの様に関わっていったらよいのか、よくよく考えなければならないのです。
西洋医学は、精神疾患だけでなく、他の様々な病気も含め、慢性病を上手く治す事が出来ません。 詳しくは、下記ブログを参照して頂くと、より分かり易いです。