<パニック障害>でお困りのあなたに その原因とメカニズム、予防法、食事法を解説します。
はじめに
パニック障害は、動悸、息苦しさ、めまい、不安、恐怖などの「パニック発作」が突然襲ってくる病気です。恐怖のあまり、救急車を呼んでしまう場合もあります。
パニック発作を何回か経験すると、「また発作を起こすのではないか」という不安や、恐怖にとらわれてしまい、仕事や外出に支障を来すようになります。
西洋医学では、パニック障害を、<精神>の病気としています。精神と肉体を別々のものとして切り離し、脳の働きに問題があるとし、<精神科やメンタルクリニック>などで治療しています。
西洋医学では「脳の不安と恐怖に関わる神経回路が興奮状態になってしまう」のが原因であるとして薬物治療を行います。神経回路が興奮状態になってしまうのは、「脳の神経伝達物質の過不足に問題があるのだ」とするのです。
しかし、本当の原因が 分かって治療するわけではありませんから、症状を軽くするだけの、対症療法でしかありません。従って、<パニック障害>を根本的に治す事は出来ないのです。長期に渡って薬物治療を続けると、副作用の心配も出てきます。
鍼灸医学では、精神と肉体を別々に切り離して考えることはしません。精神と肉体(特に 腎臓、心臓 )が調和して、一体となっているとするので。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】でパニック障害のメカニズムを解説します。
精神と肉体 ( 腎臓、心臓 )は一体となっていて、切り離すことが出来ないこと、又、
腎臓と心臓の弱りが<パニック障害>の原因であることを解説します。予防法、食事法も分かってきます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽が有ります。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
鍼灸医学の基本的生理、病理は下記の如くです。
◆精神という言葉の由来
鍼灸医学では
「腎は精を蔵す」といいます。腎臓は精を貯蔵しているとするのです。 又、「心は神を蔵す」といいます。心臓は神を貯蔵しているとするのです。
つまり、精神という言葉は、腎臓と心臓が、その中に貯蔵している精と神を組み合わせて出来た言葉なのです。
◆精神は陽、肉体は陰 、この二つは、一体不可分。
目に見えない精神は陽、目に見える肉体は陰です。
陽の精神と、陰の肉体が調和して一体となり、人が出来上がります。
腎臓と気持ちとの間には密接な関係があります。
◆腎臓が弱ると不安感、恐怖感が強くなる。
<パニック障害>の根本には、強い不安感と恐怖感があります。
腎臓の弱りと不安感、恐怖感とは密接な関係があるのです。
◆腎臓が弱ると気持ちが後ろ向きになり不安感、恐怖感が強くなる。
過去に経験した不幸な事、 (<パニック発作>を起こした)恐ろしい事などの、<思い出したくない嫌な事>が、次々と心に浮かんで来て、その思いに執着してしまい、前向きな気持ちになれなくなります。
◆腎臓の働きが健全だと気持ちが明るく、前向きになる。
腎臓の働きが健全だと、自然と、明るく、前向きになります。過去の <思い出したくない嫌な事>は、自然と、心に浮かんで来なくなります。
腎精、精神、肉体、エネルギーの基本的生理、病理は下記の如くです
◆腎精が人の精神、肉体、エネルギーのおおもと
腎臓にある、両親から頂いた先天の腎精と、飲食物と大気から作り出される後天の腎精の二つが合わさり、人の精神、肉体、エネルギーのおおもととなります。
◆腎精から腎陰と腎陽が生まれ。更に、腎陰から腎陰陰と腎陽陰が生まれ。腎陽から腎陰陽と腎陽陽が生まれる。
それぞれの働きを下記します。
・腎陰陰
物質である肉体を形成します。腎陰陰が少なくなると痩せていきます。栄養分が腎臓から漏れ出てしまうのです。
・腎陽陰
精神、肉体を安定、沈静化するエネルギーです。副交感神経を活性化します。腎陽陰が不足すると精神が不安定になり、沈静化しなくなります。腎陽陰が極端に不足すると精神がコントロール不能となります。
<パニック障害>を起こした時は腎陽陰が極端に不足した状態になっています。
・腎陰陽
精神、肉体を活性化するエネルギーです。交感神経を活性化します。腎陰陽が不足すると精神、肉体が不活発になります。
・腎陽陽
肉体を活動させるエネルギーです。飲食物が燃焼して出すカロリーです。不足すれば血糖値が下がり、活力が低下してしまいます。外出するのもおっくうになり、家で静かにしているのを好むようになります。
心臓と腎臓の基本的生理、病理は下記の如くです。
◆心臓にも心陰と心陽の二つのエネルギーがある。
・心陰は心臓を過熱しないよう涼しくしているエネルギーです。腎陰から供給されます。
・心陽は心臓を活性化するエネルギーです。腎陽から供給されます。
腎臓、心臓、肺の基本的生理、病理は下記の如くです。
◆腎陰が減少すると心陰も減少し、心臓が過熱する。
心陰が減少すると、心臓の陰陽のバランスが崩れ心臓が過熱してきます。脈が速くなり、動悸がして気持ちが落ち着かなくなります。
◆腎陰が減少すると呼吸が苦しくなる。
腎は納気を司るとします。肺で酸素を取り込むのは腎陰の働きです。酸素と炭酸ガスの交換が上手くいかなくなるのです。
腎精と心神の基本的生理、病理は下記の如くです
◆神は腎精より生み出され、人の精神、肉体、エネルギーを統括(コントロール)する。これらが三位一体となり生命活動を営む。
・神が不足すると、精神、肉体、エネルギーを上手くコントロール出来なくなります。
腎精が減少すると心陰も減少します。すると、心臓の陰陽のバランスが崩れ、心陽が亢進します。受納、貯蔵するエネルギーは心陰です。従って、心臓が神を十分貯蔵出来なくなるのです。
神が極端に不足すると、精神、肉体、エネルギーをコントロール出来なくなり、人として機能しなくなってしまいます。
パニック障害 を起こす時は神が極端に不足した状態になっているのです。
以下、< パニック障害>の症状の発生メカニズムを【私の鍼灸医学】で解説します。
◆ 腎陽陰と心陰が減少すると、心臓が神を十分貯蔵出来なくなります。すると、神が精神、肉体、エネルギーを上手くコントロール出来なくなるのです。これが<パニック発作>なのです。
下記のような症状が出ます。
・また発作を起こすのではないかと、悩み、不安と恐怖がつのる。
・動悸、心拍増加、発汗、振るえ、胸痛、息切れ、息苦しさ、窒息感 吐き気、目まい、ふらつき、離人症(自分が自分でないような感じ)などが起こる。
・不安と恐怖で、電車、バス、エレベーターなどのに乗れなくなる。高速道路に乗り入れられない 美容室、理容室、人込み、公園などに行けなくなる。
自分が自分でないような感じになり、救急車を呼んでしまうような事もあります。
◆<パニック発作>は過剰な心陽を発散して、心臓の陰陽のバランスを取り、命を守ろうとする働きがある。
<パニック発作>は数分から一時間以内には、殆ど収まります。発作を起こすことによって、過剰な心陽を発散し、心臓の陰陽のバランスを取り戻し、命を守ろうとしているのです。
あとがき
腎精から神、精神、肉体、エネルギーの三つが生み出され、神が精神、肉体、エネルギーを統括(コントロール)して生命活動を営みます。これが鍼灸医学の生理観です。
神が極端に不足し、精神、肉体、エネルギーをコントロール出来なくなった時<パニック障害>の発作が起こるのです。
それほどまでに、腎精と神の働きは大きいのです。 西洋医学の生理観、病理観とは、あまりにも大きな違いがあります。
精神疾患を肉体とは切り離し、<精神科やメンタルクリニック>などで脳の薬物治療をするという西洋医学の今の在り方は、ほとんど無意味なのです。
<パニック障害 >を改善する為に、心がけると良いことを下記します。
・<パニック障害>は脳の病気ではなく内臓、特に腎臓と心臓の病気であることを良く認識する。
・西洋医学の薬物治療では根本的に良くならないことを良く認識する
薬の飲み方については、下記ブログを参照して頂くと、より分かり易いです。
・気持ちを切り替え、心配し過ぎず、出来るだけ平常心を保つように心がける。
・腎臓、心臓の働きを良くする為、仕事も含め、日常生活を見直し、改善する。
・ストレス、過労、睡眠不足に注意する。
・適度な運動をするように心がける。
飲食の注意は特に大事です。それらを下記します。
・肉類の過剰摂取
・脂肪を多く含む食品の過剰摂取
・タンパク質を多く含む食品(肉、魚、チーズ、豆類など)の過剰摂取
・体質、季節に合った野菜を十分摂取する
・塩分の過剰摂取
・過食しない
・間食は出来るだけ避ける。
精神と腎臓、心臓の関係については、下記ブログを参照して頂くと、より分かり易
いです。