<過換気症候群>の本当の原因とメカ二ズム、予防法、食事法を解説します。
はじめに
不安や肉体的疲労によって発作的に引き起こされる過呼吸を<過換気症候群>と言います。
過呼吸により、血液中の酸素濃度は上昇、炭酸ガス濃度は低下し、血液がアルカリ性になます。すると、
血管が収縮し、手足や唇がしびれたり、動悸、目まいなどの症状を引き起こすことになります。
<過換気症候群>は<パニック障害>の患者に多く見られると言われています。
症状が似ているので<パニック障害>と間違えられることもあります。
几帳面で神経質、心配性、20~30代の若者に多い傾向がありますが、西洋医学では原
因不明とされています。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で<過換気症候群>の原因は腎臓と肺と心臓の弱りにあることを解説します。
発作のメカニズム、予防法、食事法が分かってきます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。
全ての物に正反対の性質を持った陰と陽が有ります。
陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。一方、
陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。
磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。
同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
◆<過換気症候群>の症状
発作的に以下の症状を現します。
・呼吸が速く、苦しくなる。
・胸部に圧迫感や痛みが出る。
・動悸がする
・めまいが起こる
・手足や唇がしびれる
・頭がボーとする
・死の恐怖を感じる
◆西洋医学による治療法
・紙袋を口に当てて、反復呼吸する。
低酸素血症になる恐れがあるので、最近は、あまり推奨されていません。
・ゆっくりと深呼吸させる。
一呼吸に10秒ぐらいかけて、吸う方より吐く方に重点を置いて深呼吸する。
・抗不安薬の服用
発作は数分で収まってしまうので薬は使いようがありません。
以下、鍼灸医学の基本的生理、病理について解説します。
エネルギーの働きは以下の如くです
◆エネルギー(気)に陰陽がある
・ 陰のエネルギー(陰気)は、冷却する、鎮める、膨張する、緩む、伸びる、取り込む、などの性質があります。
・ 陽のエネルギー(陽気)は、加熱する、活発にする、収縮する、縮む、排出する、などの性質があります。
◆気体にも陰陽がある
酸素は陰性、炭酸ガスは陽性です
<精神>と<肉体>の関係は以下の如くです。
◆<精神>は陰、<肉体>は陽
目に見えない<精神>は陰、目に見える<肉体>は陽です。
陰の<精神>と、陽の<肉体>が調和して一体となり、人が出来上がります。
腎臓が貯蔵している<腎精>が人が生きるおおもとになっています。
腎精の生理、病理は下記の如くです。
◆腎精が<精神>と<肉体>と<エネルギー>のおおもと
腎臓にある、両親から頂いた先天の腎精と、
飲食物と大気から作り出される後天の腎精の二つが合わさり、
<精神>と<肉体>と<エネルギー>のおおもととなります。
◆腎精から腎陰と腎陽が生まれ、下記のような働きをします。
・腎陰は <精神>、<肉体>を安定、沈静化する<エネルギー>です。
副交感神経を活性化します。
腎陰が不足すると<精神>が不安定になり、沈静化しなくなります。
躁病やパニック障害が典型的な病気です。
・腎陽は<精神>、<肉体>を活性化する<エネルギー>です。
交感神経を活性化します。
腎陽が不足すると<精神>、<肉体>が不活発になります。
うつ病が典型的な病気です。
以下、肺と腎臓の生理、病理について解説します。
◆肺にも陰気と陽気があり、それぞれ、腎陰と腎陽から供給される。
以下のように働きます。
・肺の陰気は、肺を沈静化し、拡張し酸素を取り込みます。
・肺の陽気は、肺を活性化し、収縮し炭酸ガスを排出します。
鍼灸医学では、酸素を取り込み、炭酸ガスを排出する肺と腎臓の協調作用を
<腎臓の納気作用>と呼びます。
以下、心臓、血管と腎臓の生理について解説します。
◆心臓、血管にも陰気、陽気があり、それぞれ腎陰、腎陽から供給される。
以下のように働きます。
・陰気は心臓、血管を緩め、拡張します。
・陽気は心臓、血管を縮め、収縮します。
以下、<過換気症候群>の発作発生メカニズムを解説します。
<過換気症候群>の根本には、<パニック障害>の場合と同様に、不安感と恐怖感が潜在しています。
鍼灸医学では腎臓が弱ると不安感、恐怖感が強くなるとします。
◆腎臓と肺と心臓が弱っている人が<過換気症候群>に成り易い。
<過換気症候群>の発作を起こす人は、腎臓と肺と心臓の弱りがあり、腎精、腎陰、肺の陰気、心臓、血管の陰気が減少しているのです。
◆大きなストレスや過労が加わると腎精、腎陰、肺、心臓の血管の陰気が極端に減少し、極端に陽気過剰となる。
陰陽のバランスが崩れ、陽気が極端に過剰となるのです。
◆陽気が極端に過剰になると
・肺が強く収縮するので 呼吸の<吸>が苦しくなる。
・心臓、血管が強く収縮するので、血液循環が悪化する。
◆命を守る為、救急的に<過換気症候群>の発作を起こす。
陰性の酸素を取り込み、陽性の炭酸ガスを発散し、極端に過剰なった陽気を鎮め、強く収縮した肺と心臓、血管を拡張し、元に戻そうとするのです。
血液中の酸素濃度が上がり、炭酸ガス濃度が下がるのは、極端に過剰なった陽気を鎮め、陰陽のバランスを取ろうとしているからです。
・肺が強く収縮し、呼吸の<吸>が苦しくなり酸素を上手く取り込めなくなると以下の症状が出ます。
呼吸が速く、苦しくなる。
胸部に圧迫感や痛みが出る
死の恐怖を感じる
・心臓、血管が強く収縮し、血液循環が悪化すると、以下の症状が出ます。
胸部に圧迫感や痛みが出る。
動悸がする
めまいが起こる
手足や唇がしびれる
頭がボーとする
◆肺と、心臓、血管がが緩み、拡張して元の状態に戻れば<過換気症候群>の発作は治まる。
肺と、心臓、血管の極端に過剰なった陽気が減少し、陰陽のバランスが取れれば、発作は治まるのです。
<過換気症候群>の発作は数分で治まります。つまり、それは、
数分あれば、陰陽のバランスが取れると言うことを意味しているのです。
あとがき
<過換気症候群>は腎臓、肺、心臓と血管が弱っている人が起こし易い病気です。
大きなストレスや過労が加わった時に、陰気が極端に減少し、陽気が極端に過剰となった結果、肺と心臓、血管が収縮してしまい、ほうっておくと命の危険が出てきてしまったと言うことなのです。
極端に過剰なった陽気を発散する為、救急的に<過換気症候群>の発作を起こすのです。
過換気する事により、陰性の酸素を取り込み、陽性の炭酸ガスを放出します。血液中の酸素濃度が上がり、炭酸ガス濃度が下がるのはその為です。
肺と心臓、血管の陰陽のバランスが取れるようになれば、肺と心臓、血管は緩み、拡張し元に戻ります。
そうなれば過換気をする必要はもう無くなるのです。
西洋医学は、血液中の酸素濃度が上がり、炭酸ガス濃度が下がるのが、直接の原因であるとしていますが、本当の原因は分かっていないのです。
<過換気症候群>の場合だけでなく、全ての慢性病は、
<目に見えないエネルギーの世界に原因があり>、
<目に見える世界に結果が現れる>
と言う事実に、全く気付いていないのです。
結果を原因としてしまい、何も違和感を感じない、西洋医学の<悲しいまでの幼児性と独善性>がここにあります。
残念かつ不幸なことです。
肺よりも心臓の働きの弱い人は、<過換気症候群>よりも<パニック症候群>に成り易くなります。
詳しくは、以下ブログを参照して頂くと分かり易いです。
<過換気症候群>を改善する為の予防法、食事法を下記します。
・<過換気症候群>は肺の病気ではなく内臓、特に腎臓、肺、心臓の病気であることを良く認識する。
・気持ちを切り替え、心配し過ぎず、出来るだけ平常心を保つように心がける。
・腎臓、肺、心臓、血管の働きを良くする為、仕事も含め、日常生活を見直し、改善する。
・ストレス、過労、睡眠不足に注意する。
・適度な運動をするように心がける。
飲食の注意は特に大事です。それらを下記します。
・肉類の過剰摂取
・脂肪を多く含む食品の過剰摂取
・タンパク質を多く含む食品(肉、魚、チーズ、豆類など)の過剰摂取
・体質、季節に合った野菜を十分摂取する
・塩分の過剰摂取
・過食しない
・間食は出来るだけ避ける。