2017-02-24 <排卵誘発剤を使った不妊治療>の危険な<落とし穴> 易の陰陽論で解説します 婦人科系疾患 はじめに 体外受精で生まれる子供が急増しています。日本産科婦人科学会の集計によれば、2014年に国内の医療機関で実施された体外受精の件数は、393,745件、生まれた子供の数は47,322人と、いずれも過去最多となりました。2014年の総出生数は1,003,500人ですから、実に、21人に1人が体外受精によって生まれたことになります。 2013年に較べ、体外受精は、件数で25,000件、出生数で4,700人、も増えています。このような、体外受精の急激な増加は、近年の、晩婚化、晩産化による不妊症の増加が原因の一つになっています。 体外受精は<精子と卵子を体外で受精させ、子宮に戻す不妊治療>です。1983年に始まり、生まれた子供は累計43万人を超えました。日本は体外受精の件数が世界で一番多いと言われており、2004年からは公費助成も始まりました。 一方、体外受精の成功率は全体で12%と低く、年齢別で見ても、35 歳で約17%、40歳で約8%、45歳で約1%と、年齢が上がれば上がる程、厳しくなることが分かっています。 女性の不妊の最大の原因は<良質な卵子を育てて、排卵することが出来ない >ことにあります。その為、体外受精の治療には排卵誘発剤が使われます。卵巣を刺激し、成熟した良質な卵子の数を増やし、排卵を促そうとするのです。 排卵誘発剤には効き目の穏やかな飲み薬と、効き目の強力な注射、の二種類があります。飲み薬を使って妊娠できなければ、強力な注射が使われるのです。 効き目の穏やかな飲み薬でも副作用は出ます。増してや、強力な注射を使えば、より副作用の危険が出てきます。卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠を招くこともあります。排卵誘発剤を使っても、多くの人(全体の約88%)は妊娠、出産出来ません。<排卵誘発剤を使った不妊治療>は一般に思われているほど上手くいっていないのです。 ほとんどの人は<排卵誘発剤を 使うと成熟した良質な卵子が増え、排卵につながる>と<信じて?>います。しかし、残念ながら、排卵誘発剤にはそのような働きは無いのです。<排卵誘発剤の働きを誤認>していること、それが、多くの人が排卵誘発剤を使っても妊娠、出産出来ない一番の原因になっているのです。 易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で<排卵誘発剤を使った不妊治療>には、<排卵誘発剤の働きを誤認している>という思わぬ<落とし穴>があることをを解説します。不妊体質の改善には腎臓の働きを良くすることが一番大事であることが分かってきます。 ◆良く使われる 排卵誘発剤 ・飲み薬 クロミッド 脳の視床下部を刺激することで、卵胞刺激ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す薬です。数周期以上に渡って使用すると、子宮内膜が薄くなる、子宮頚管粘液が減少する、発疹、頭痛、のぼせ、お腹の張り、更年期やうつ病などに似た症状の副作用が出る場合があります。 ・注射 hⅯG注射 クロミッドだけでは効果が不十分な場合に用います。卵胞刺激ホルモンと黄体ホルモン の両方が入った注射です。卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠(確率20%)の副作用があります。 hCG注射 排卵や妊娠時に分泌される黄体ホルモンに似た作用のある注射です。成熟した卵胞に排卵を起こさせる為に使います。卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠(確率20%)の副作用があります。 ◆陰陽論とは 陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽があります。全ての物は、陰と陽を調和させることによって成り立っています。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。 一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。 ◆腎精が人の精神、肉体、エネルギーのおおもと 鍼灸医学では、<腎臓は精を蔵す>と言います。精を腎臓の中に蓄えているとするのです。それを腎精と呼びます。両親から頂いた先天の腎精と、飲食物と大気から作り出される後天の腎精の二つが合わさり、腎精が形成されます。その腎精が人の精神、肉体、エネルギーのおおもとになるのです。 ◆エネルギーに陰と陽がある 腎臓が蓄えている腎精から、陰のエネルギーの腎陰と、陽のエネルギーの腎陽の二つが生まれます。 ・腎陰は、冷却する、鎮める、膨張する、緩む、伸びる、取り込む、物質(細胞など)を生み出す、副交感神経を活性化する、などの性質があります。 ・腎陽は、加熱する、活発にする、収縮する、縮む、排出する、交感神経を活性化する、などの性質があります。 ◆ホルモンは陽性 ホルモンは腎陰から生まれ、活性化作用があります。従って、ホルモンは陽性です。 ◆女性ホルモンにも陰と陽がある。 卵胞ホルモンは低温相に多く分泌されます。腎陰を増やし、内膜を増殖、肥厚させ卵胞の成熟と排卵を促します。従って、卵胞ホルモンは陰陽性です。 黄体ホルモンは排卵後の高温相に多く分泌されます。腎陰を更に増やし、温度を上げて受精の準備を整えるのです。 従って、黄体ホルモンは陽陽性です ◆ホルモンは陽性、従って、卵胞を成熟、排卵させることは出来ない。 陽性のホルモンは物質(細胞など)を生み出すことは出来ません。従って、卵胞ホルモンも黄体ホルモンも卵胞を成熟、排卵させることは出来ないのです。 ◆卵胞を成熟、排卵させるのは腎陰の働き。 物質(細胞など)を生み出すのは腎陰の働きです。卵胞を成熟、排卵させるのは腎陰の働きなのです。 ◆ ホルモンの働きは腎陰をコントロールするだけ。思わぬ<落とし穴>がここにある。 ホルモンの働きは腎陰をコントロールするだけです。 陽性のホルモンには卵胞を成熟、排卵させる働きは無いのです。西洋医学はこのことに全く気づいていません。<排卵誘発剤の働きを誤認している>という思わぬ<落とし穴>がここにあるのです。 ◆ 不妊症の一番の原因は腎臓の弱り。 腎臓が弱ると、腎陰が減少します。腎陰が減少するとホルモンの分泌量が減少し、物質(細胞など)を生み出す能力も低下します。卵胞を十分に成熟、排卵させることが出来なくなるのです。 ◆排卵誘発剤を何回も使うと、より妊娠しにくい体質になる。 排卵誘発剤を何回も使うと、自身で自分のホルモンを作る能力が次第に低下していきます。腎陰も消耗し、薬の副作用も加わり、皮肉な事に<より妊娠しにくい体質>になってしまうのです。 ◆不妊体質の改善には腎臓の働きを良くすることが一番大事 卵胞を成熟、排卵させることが出来る腎陰が無ければ、 排卵誘発剤を何回使っても結果は同じです。妊娠できないのです。<不妊体質の改善には腎臓の働きを良くすることが一番大事>なのです。 あとがき ホルモンには卵胞を成熟、排卵させる働きはありません。西洋医学は、このことに全く気づいていません。卵胞を成熟、排卵させているのは腎臓(腎陰)の働きなのです。<排卵誘発剤の働きを誤認している>という思わぬ<落とし穴>がここにあるのです。 なかなか妊娠できない人が排卵誘発剤を何回使っても結果は同じです。妊娠できないのです。腎陰も消耗し、薬の副作用も加わり、皮肉な事に<より妊娠しにくい体質>になってしまうのです。<不妊体質の改善には腎臓の働きを良くすることが一番大事>なのです。 日常生活で注意すると良い事を下記します。 ・ストレス、過労、睡眠不足に注意する。 ・適度な運動をするように心がける。 飲食の注意は特に大事です。それらを下記します ・肉類を摂り過ぎない ・タンパク質を摂り過ぎない ・脂肪を摂り過ぎない ・体質、季節に合った野菜を十分摂取する ・食物繊維を含む食品を十分摂取する ・五味(酸、苦、甘、辛、鹹)を摂り過ぎない ・過食しない ・間食は出来るだけ控える。(洋菓子、スナック菓子、菓子パンなどは特に注意)