<子宮筋腫>の発生メカニズムを易の陰陽論で解説します 原因と改善法が分かります。
<子宮筋腫>は、初潮前の女性に出来ることはありません。また、閉経すると、大半の筋腫は収縮してしまいます。女性ホルモンが増加する妊娠中は大きくなり、女性ホルモンの分泌を抑える薬を服用すると収縮します。
女性ホルモンが原因ではないかと言われていますが、動物実験で女性ホルモンを大量に、長期間投与しても、<子宮筋腫>が出来無いので、詳しい原因は不明とされています。
<子宮筋腫>には下記のように、いくつかの<何故?>が有ります。
<筋肉に腫瘍が出来るのは 何故?>
<筋腫が球形になるのは 何故?>
<筋腫の中の細胞が渦巻き状になるのは 何故?>
<過多月経になるのは 何故?>
<女性ホルモンの分泌量が増えると筋腫が、より大きくなるのは 何故?>
<女性ホルモンの分泌量が減少したり、閉経すると筋腫が小さくなるのは 何故?>
<女性ホルモンを投与しても、動物には筋腫ができないのは 何故?>
<筋腫があると妊娠(受精卵が着床)しにくいのは 何故?>
<子宮筋腫>の発生メカニズムが分かると、これらの<何故?>も容易に理解することが可能になります。易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で <子宮筋腫>の発生メカニズムを解説します。<子宮筋腫>の原因が、肝臓と腎臓の弱りにあること、またその改善法が分かります 。
◆<子宮筋腫>の種類と症状
<粘膜下筋腫>
子宮の内側を覆う子宮内膜の下の筋肉に出来る筋腫で、子宮の内側に向かって大きく成長していきます。発生頻度は5~10%と低い筋腫ですが、大きさは小さくても、症状は重くなり易い特徴があります。
不正出血、過多月経、強い月経痛、貧血、動悸、息切れを起こします。不妊や流産の原因にもなり、手術を要する場合もあります。
<筋層内筋腫>
子宮内膜の外側にある子宮筋層に出来る筋腫で<子宮筋腫>の70%と、一番多く見られる筋腫です。小さいときはほとんど無症状ですが、大きくなるにつれて、子宮が腫れ変形します。
子宮が強く収縮する時に下腹部痛や腰痛が出たり、過多月経、頻尿、便秘などを起こすことが有ります。出来る場所や大きさによっては不妊や流産の原因にもなります。
<漿膜下(しょうまくか)筋腫>
子宮の外側を覆う漿膜に出来る筋腫で子宮の外側に向かって大きくなります。 無症状の場合が多く、過多月経を起こすことも少ないのが特徴です。大きくなると茎部で捻じれる茎捻転を起こす場合があります。
◆<子宮筋腫>の西洋医学的治療
症状があまり出ない場合は、大きさ、症状を見ながら経過観察になります。
ホルモン剤を使った薬物療法では、完治するということがありません。骨密度の低下や更年期症状が出るという副作用があったり、治療を中止すると、筋腫の大きさが元に戻ってしまったりしてしまうのです。従って、最近は、手術で筋腫を切除する前に、一時的に小さくするために使われる程度になっています。
筋腫が増殖し、症状も悪化した場合は子宮全摘術や筋腫核出術が行われます。子宮全摘術となると、妊娠を希望する女性にとっては大変難しい判断を迫られることになります。
易の陰陽論について簡単に紹介します。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽があります。全ての物は、陰と陽を調和させることによって成り立っています。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
人が生きる根本になる腎精について簡単に解説します。
◆腎精が<精神>と<肉体>と<エネルギー>のおおもと
鍼灸医学では、<腎臓は精を蔵す>と言います。精を腎臓の中に蓄えているとするのです。それを腎精と呼びます。両親から頂いた先天の腎精と、飲食物と大気から作り出される後天の腎精の二つが合わさって腎精が形成されます。
その腎精が人の<精神>と<肉体>と<エネルギー>のおおもとになるのです。
人が生きる根本になる二つのエネルギーについて簡単に解説します。
◆エネルギーに陰陽がある
腎臓が蓄えている腎精から、陰のエネルギーの腎陰と、陽のエネルギーの腎陽の二つが生まれます。
・腎陰は、冷却する、鎮める、膨張する、緩む、伸びる、取り込む、物質(細胞など)を生み出す、副交感神経を活性化する、などの性質があります。
・腎陽は、加熱する、活発にする、収縮する、縮む、排出する、交感神経を活性化する、などの性質があります。
◆五臓六腑は腎陰、腎陽から供給される陰気と陽気で働く
例えば、肝臓は腎陰から供給される肝陰と腎陽から供給される肝陽で働くのです。
肝臓、腎臓の生理、病理について簡単に解説します。
◆筋肉の病気は肝臓が原因
鍼灸医学では<肝臓が筋肉を養う>とします。筋腫は筋肉の腫瘍です。従って、<子宮筋腫>の原因の一つは肝臓にあるとするのです
◆腎臓が弱ると、肝陰が減少する。
腎臓が弱ると腎陰が減少します。すると、腎陰から供給される肝陰も減少します。
◆肝臓が弱ると肝陰が減少し、肝血の温度が上昇する。
鍼灸医学では肝臓は血液の貯蔵タンクとします。大量の血液(肝血と呼びます)を貯蔵します。活動温度は約42度Cと高温です。肝臓が弱ると肝陰が減少し、肝陽が亢進します。すると肝臓が過熱し、肝血の温度が上昇します。
◆肝臓と腎臓の弱りが進行すると、高温になった肝血が全身に供給される。
肝臓と腎臓の弱りが進行すると、肝陰が更に減少し、肝血の温度が更に上昇し高温になります。そして高温になった肝血が全身に供給されます。
◆高温になった肝血によって子宮が加熱され陰気が減少し、陽気過剰(温度が上昇)となる。
子宮は大量の血液を必要とします。従って、その影響を強く受けます。高温になった肝血によって子宮が加熱され陰気が減少し、陽気過剰(温度が上昇)となります。
◆子宮の陰気が減少すると受精卵が着床困難になる。
受精卵は陽性です。子宮の陰気と調和する事によって子宮に着床します。従って、子宮の陰気が減少すると受精卵が着床困難になります。
◆子宮の陰気が減少すると、受精卵が着床しても発育不全で流産し易くなる。
胎児を発育させるのも子宮の陰気です。従って、子宮の陰気が減少すると、受精卵がなんとか着床したとしても発育不全で流産し易くなるのです。
◆子宮を健全な(陰陽のバランスを取り戻す)状態にする為、<子宮筋腫>を作り、過剰な陽気を筋腫の中に取り込み、封じ込める。
受精卵の着床、胎児の発育、出産のためには、子宮の過剰な陽気を取り除き、陰気が良く働くようにしなければなりません。子宮の陰陽のバランスを取り、健全な状態に戻す必要があります。その為、止むを得ず<子宮筋腫>を作り、過剰な陽気を筋腫の中に取り込み、封じ込めようとするのです。
以上が <子宮筋腫>の発生メカニズムです。
以下、<子宮筋腫>のいくつかの<何故?>について解説します。これらの <何故?>が分かると<子宮筋腫>の本質をより良く理解することが出来ます。
<筋肉に腫瘍が出来るのは 何故?>
鍼灸医学では<肝臓が筋肉を養う>とします。従って、肝臓の弱りがあるので筋腫が出来るのです。
<筋腫が球形になるのは 何故?>
物は中に強い陽気を取り込むと球形になります。<子宮筋腫>は子宮の筋肉の過剰な陽気を、中に取り込み、封じ込める為、陽気が充満しています。従って、球形になるのです。
<筋腫の中の細胞が渦巻き状になるのは 何故?>
渦はエネルギーの働きを活性化します。台風が良い例です。低気圧の強力な渦を作り、中心の目に高気圧を取り込み、封じ込めようとするのです。子宮の筋肉の過剰な陽気を、強力に中に取り込み、封じ込める為、<子宮筋腫>は筋腫の中の細胞を渦巻き状にするのです。
<過多月経になるのは 何故?>
出血は熱を抜く強力な (最後の)手段です。筋腫の中に取り込めなかった過剰な陽気を出血して出すのです。過多月経になるのは陽気過剰の為です。
<女性ホルモンの分泌量が増えると筋腫が、より大きくなるのは 何故?>
女性ホルモンの分泌量が増えると子宮の陰気はそのままで、温度だけ上昇し、陽気過剰となります。過剰な陽気を中に取り込み、封じ込めようとするので、筋腫は、より大きくなるのです。
<女性ホルモンの分泌量が減少したり、閉経すると筋腫が小さくなるのは 何故?>
女性ホルモンの分泌量が減少したり、閉経すると子宮の陰気はそのままで、温度が下降し、過剰な陽気が減少します。従って、筋腫が小さくなるのです。
<女性ホルモンを投与しても、動物には筋腫ができないのは 何故?>
実験用の動物は肝臓、腎臓の働きが健全です。子宮の陰気が十分ありますから、女性ホルモンを投与しても過剰な陽気が発生しません。従って、筋腫ができないのです。
<筋腫があると妊娠(受精卵が着床)しにくいのは 何故?>
受精卵は陽性です。子宮の陰気と調和する事によって子宮に着床できるのです。筋腫があると言うことは、子宮の陰気が減少しているということです。従って、妊娠(受精卵が着床)しにくいのです。
あとがき