<卵管狭窄と閉塞>のメカニズムを易の陰陽論で解説します。原因と改善法が分かります。
はじめに
<卵管狭窄、閉塞>を起こす人が増加しています。<卵管狭窄、閉塞>は不妊症の大きな原因の一つになっています。
卵管は子宮の上部から卵巣に向かって伸びる管で、左右に一本ずつ有ります。長さ約10㎝、内径が約1㎜の、内腔がとても狭い管で、先端にある卵管采により卵巣から排卵される卵子を取り込みます。そして、卵管を泳いでやってきた精子と卵子が卵管采を入った所で出会い、受精が成立します。
受精卵は卵管の中を子宮に向かって進みながら、四日間かけて八分割に細胞分裂をし、桑実胚となり子宮内に入ります。桑実胚は子宮内で胚盤胞に成長し、子宮粘膜に着床します。これが妊娠です。
卵管は受精する場所であり、かつ、受精卵を桑実胚に育てて子宮に送り込むという、大事な働きをしている場所でもあるのです。この卵管の内腔が何らかの原因により狭窄したり閉塞するのが<卵管狭窄、閉塞>です。
西洋医学では、骨盤内の炎症 (腹膜炎、子宮内膜症など)や性感染症のクラミジアなどが<卵管狭窄、閉塞>の原因とされていますが、明確な自覚症状も無く、多くの場合原因不明とされています。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で卵管が大変重要な働きをしているということ、又<卵管狭窄、閉塞>の原因が肝臓、腎臓の弱りに有ることを解説します。牛、豚、羊、鶏、乳製品に含まれる脂肪の摂取過多が大きな原因の一つになっていることも分かります。
まず最初に、卵管が如何に重要な働きをしているのか、易の基本思想を用いて、簡略に述べる事にします。
◆人の原型は卵管で創られる。子宮は専ら胎児を育むだけ。
人身小宇宙と言います。人は小さな宇宙なのです。易経の基本思想は、太極が両義 ( 陰陽 )を生じ、両義が四象(老陽、少陰、少陽、老陰)を生じ、四象が八卦 ( 乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤 )を生ずるということにあります。宇宙の全ての物が、最終的に、八種類のもの( 八卦 )で構成されるとするのです。
受精卵は卵管の中で四日間かけて八分割に細胞分裂をし、桑実胚となり子宮に入ります。受精卵が八種類の異なった細胞(八卦)に分裂した瞬間に人の原型(体質、気質、運勢など)が出来上がるのです。
子宮の働きは、その八種類の細胞をもとに、専ら胎児を育むだけなのです。子宮内では、人の原型はそのまま維持され、変わることはありません。人の誕生とその後の人生に、卵管はこれ程までに重要な働きをしているのです。
◆卵管には、他にも、以下のような大事な働きがあります。
・長さ約10㎝、内径約1㎜という、長く狭い内腔で精子を泳がせることにより、元気な精子を選別する。
◆<卵管狭窄、閉塞>が起こると、人の原型(体質、気質、運勢など)に悪影響を及ぼし,不妊症の大きな原因にもなる。
<卵管狭窄、閉塞>が起こると、下記のように、妊娠の障害になります。妊娠できたとしても、人の原型に悪影響を及ぼします。
・精子が卵管采まで到達せず、受精出来ない。
・精子が卵管采まで到達したとしても、劣化してしまい、受精出来ない。又は、受精できたとしても不健康な受精卵になってしまう。
・卵管采が卵子を上手く取り込めず、受精出来ない。
・受精しても、子宮に向かう過程で、健康な桑実胚を育てることができず、妊娠(子宮に着床)できない。又は、妊娠したとしても流産し易くなる。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽があります。全ての物は、陰と陽を調和させることによって成り立っています。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
◆<腎精>が人の<精神>と<肉体>と<エネルギー>のおおもと
鍼灸医学では、<腎臓は精を蔵す>と言います。精を腎臓の中に蓄えているとするのです。それを<腎精>と呼びます。両親から頂いた先天の腎精と、飲食物と大気から作り出される後天の腎精の二つが合わさり、<腎精>が形成されます。
その<腎精>が人の<精神>と<肉体>と<エネルギー>のおおもとになるのです。
◆エネルギーに陰陽がある
腎臓が蓄えている<腎精>から、陰のエネルギーの腎陰と、陽のエネルギーの腎陽の二つが生まれます。
・腎陰は、冷却する、鎮める、膨張する、緩む、伸びる、取り込む、物質(細胞など)を生み出す、副交感神経を活性化する、などの陰の性質があります。
・腎陽は、加熱する、活発にする、収縮する、縮む、排出する、交感神経を活性化する、などの陽の性質があります。
肝臓が弱ると、以下の事が起こります。
◆弱った肝臓が無理に働くと、肝血の温度が上昇する。
鍼灸医学では肝臓は血液の貯蔵タンクとします。大量の血液(肝血と呼びます)を貯蔵します。活動温度は約42度Cと高温です。弱った肝臓が無理に働くと肝陰が減少し、肝陽が亢進します。すると肝臓が過熱し、肝血の温度が上昇します。
◆腎臓が弱ると、肝陰が減少する。
腎臓が弱ると腎陰が減少します。すると、腎陰から供給される肝陰も減少します。
◆肝臓と腎臓の弱りが同時に進行すると、肝血が高温になり、それが全身に供給される。
肝臓と腎臓の弱りが同時に進行すると、肝陰が更に減少し、肝血の温度が更に上昇し高温になります。そして高温になった肝血が全身に供給されます。
◆高温になった肝血が生殖器とその周囲に蓄積していく。
生殖器は大量の血液を必要とします。従って、血液の影響を強く受けます。高温になった肝血が子宮、卵巣、卵管だけでなく、骨盤内の腹膜、膀胱、直腸、小腸などにも流入し蓄積していきます。
下記ブログを参照して頂くとより分かり易いです。
◆高温になった肝血が卵管に流入、蓄積し、陽過多となり、内腔が狭窄、閉塞する。
高温になった肝血により卵管が陽過多となり、うっ血、膨張します。すると卵管が狭窄、閉塞するのです。
一方、卵管が陽過多の状態のときに、哺乳類(乳製品も含めて)、鳥類を過剰摂取すると、それらに含まれる脂によって、卵管に以下の障害が起こります。
◆陰性の脂が陽過多になった卵管に蓄積し、内腔が狭窄、閉塞する。
脂は陰性です。陽過多になった卵管と親和性があります。人の体温よりも高い体温の動物の脂は、人の体の中に入ると、固まり、流動性を失います。牛は約 2℃、豚、羊は約3℃、鶏は 約6℃、 それぞれ人より高い体温を持っています。従って、これらの動物の脂は、卵管の細胞に蓄積し、終いには、内腔に析出して固まります。そして卵管が狭窄、閉塞するのです。
あとがき
易の基本思想を用いることによって、人の原型(体質、気質、運勢など)が卵管の中で出来上がることが分かります。それは、卵子と精子の受精後、四日目に卵管内で起こります。受精卵が八分割に細胞分裂をし、桑実胚となった瞬間に人の原型が出来上がるのです。
妊娠(受精卵の子宮粘膜への着床)から出産までの子宮の働きは、専ら胎児を育むだけで原型そのものは不変なのです。人の誕生とその後の人生に与える影響の大きさは、子宮よりも卵管の方がより大きいものがあると言っても過言ではないのです。
健康な子供を産む為には、卵巣、卵管、子宮を健全な状態に維持する必要が有ります。とりわけ、卵管は大事と言って良いでしょう。<卵管狭窄と閉塞>を防いだり改善するには、肝臓、腎臓の働きを良くしなければなりません。食生活の注意は特に大事です。哺乳類、鳥類の摂取は、乳製品を含めて出来るだけ控えるべきです。
日常生活で注意すると良い事を下記します。
・ストレス、過労、睡眠不足に注意する。
・適度な運動をするように心がける。
飲食の注意は特に大事です。それらを下記します
・牛、豚、羊、鶏は出来るだけ少なくし、代わりに魚貝類を摂取するようにする。
・脂肪を摂り過ぎない(クリーム、マヨネーズ、チーズ、ナッツ類なども注意)
・体質、季節に合った野菜を十分摂取する
・食物繊維を含む食品を十分摂取する
・五味(酸、苦、甘、辛、鹹)を摂り過ぎない
・過食しない
・間食を出来るだけ控える(脂肪の多い洋菓子、スナック菓子、菓子パンなどは特に注意)
・アルコールを控える