プロの私の鍼灸医学

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毎日の生活に役立つ鍼灸医学の紹介

<女性の不妊症と不育症>その<原因と対策>を易の陰陽論で解説します。

はじめに

 <女性の不妊症、不育症(流産、早産)>が急増しています。晩婚化、晩産化の影響も加わり、10組に1組の夫婦が<不妊症、不育症>と言われています。色々な検査しても、特に異常は見つからず、仮に、何か見つけたとしても、それが原因であると特定することが困難であると言われています。

 

 妊娠する為には、まず、(卵管中で)受精しなければなりません。受精出来ない人が増えている為、体外受精精子卵子を体外で受精させ、子宮に戻す不妊治療)が急増しています。それに伴い、体外受精で生まれる子供も急増しているのです。

 

 日本に於ける体外受精は1983年に始まり、生まれた子供の累計は43万人を超えました。件数は世界で一番多いと言われており、2004年からは公費助成も始まりました。2014 年には、実に21人に1人が体外受精で生まれているのです。

 
 体外受精による出産の成功率は全体で12%と低く、年齢別で見ても、35 歳で約17%、40歳で約8%、45歳で約1%と、年齢が上がれば上がる程、厳しくなります。
 
 体外受精によって受精した受精卵はそう質の良いものとは言えません。従って、子宮に着床しなかったり、なんとか着床しても上手く育たなかったりすることが多いのです。
 
 <女性の不妊症と不育症>を克服して、健康な子供を産むためには、卵胞の成長から最後の出産に至るまでの全過程で、以下に示す条件を、それなりに満たす必要があります。
・卵巣内で健康な卵胞が育つ。
・健康な卵子排卵する。 
・受精後、卵管内で健康な(八分割に細胞分裂した)受精卵(桑実胚)に育つ。
・子宮内で健康な(八分割に細胞分裂した)受精卵(桑実胚が胚盤胞)に育つ。
受精卵(胚盤胞が上手く子宮内膜に着床(妊娠)する。
・子宮内で健康な胎児が育つ
 
 易の鍼灸医学融合させた【私の鍼灸医学】<女性の不妊症と不育症>の原因が<肝臓と腎臓の弱り>と、<牛、豚、羊、鶏、乳製品に含まれる脂肪の過剰摂取>にあることを解説します。対策も分かってきます。(男性の不妊症については、機会があれば別途取り上げたいと思います)
 

論とは 

 

 陰とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持ったがあります。全ての物は、調和させることによって成り立っています。は互いに引き合い調和しようとします。

 一方、陰と陰陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極反発しあい、異なる極引き合うのと一緒です。

 

 ◆<腎精>が人の<精神>と<肉体>と<エネルギー>のおおもと 

 

 鍼灸医学では、<腎臓は精を蔵す>と言います。精を腎臓の中に蓄えているとするのです。それを<腎精>と呼びます。両親から頂いた先天の腎精と、飲食物と大気から作り出される後天の腎精の二つが合わさり、<腎精>が形成されます。その<腎精>が人の<精神>と<肉体>と<エネルギー>のおおもとになるのです。

 

エネルギーがある

 

 腎臓が蓄えている<腎精>から、のエネルギーのと、のエネルギーのの二つ生まれます。

 

は、冷却する、める、膨張する、む、びる、取り込む、物質(細胞など生み出す副交感神経活性化する、などのの性質があります。

 

は、加熱する、活発にする、収縮する、む、排出する、交感神経を活性化する、などのの性質があります。

 

内臓から供給されるで働く。

 

内臓供給されるを調節、調和させながら働いています。
 
◆腎臓弱るが減少し、内臓過少、過多となる。
 
腎臓弱ると内臓に供給されるが減少します。すると内臓が過少、過多となります。 

 

弱った肝臓無理働くと、肝血温度上昇する。 

 

 鍼灸医学では肝臓は血液の貯蔵タンクとします。大量の血液(肝血と呼びます)を貯蔵します。活動温度は約42度Cと高温です。弱った肝臓無理働くと肝臓のが減少し、過少、過多となります。すると肝臓が過熱し、肝血の温度が上昇します。

 

腎臓肝臓同時に弱ると、以下の様になります。

 

高温になった肝血卵巣、卵管、子宮供給され、過少、過多になる。 

 

 肝臓同時に弱るが更に減少します。すると、肝血が更に高温になり、卵巣、卵管、子宮が更に過少過多となります。 

 

物質 (細胞)を生み出すのはの働き。卵巣、卵管、子宮過少過多となると、下記のような困ったことが起こる。

 

卵巣では

 卵巣過少、過多なると、じっくりと卵胞を育てることが出来ず、短時間で不完全に成長してしまいます。まだ受精していないのにもかかわらず、卵巣の中に脂肪のかたまり、毛髪の束、骨、歯などが育ってしまう<皮様(ひよう)嚢腫><成熟嚢胞性奇形腫>が出来てしまうのです。奇形腫が出来ないとしても、未成熟な卵子を、短時間で排卵してしまうことになります。

 

 卵巣過少、過多となり、温度上昇すれば<漿液性嚢腫>が、更に温度が上昇すれば<粘液性嚢腫>が出来ます。どちらも、水液を嚢腫の中にため込み、卵巣の温度を下げる為に出来る卵巣嚢腫です。卵巣が炎症を起こすのを防ぐ為止むを得ず出来るのです。このような卵巣の状態では、健康な卵子は育たないのです。詳しくは下記ブログを参照して頂くと分かり易いです。

  

shinkyu-igaku.hatenablog.com

卵管では

 卵管過少、過多となると、受精の障害になります。受精しても受精卵の細胞が未成熟な状態で短時間に八分割に細胞分裂してしまい、健康な受精卵(桑実胚)が育たなくなります。

 

 卵管過少、過多となると、卵管がうっ血、膨張します。すると卵管の内腔が狭窄、閉塞し、<卵管狭窄と閉塞>が起こります。健康受精卵(桑実胚)が育たなくなります詳しくは下記ブログを参照して頂くと分かり易いです。

  

shinkyu-igaku.hatenablog.com

子宮では 

 子宮内膜が過少、過多となると受精卵(桑実胚)をじっくりと健康な受精卵(胚盤胞に育てることが出来なくなります
 
 受精卵(胚盤胞)は性です。従って、子宮内膜が過少、過多となると着床(妊娠)しにくくなります。
 
 胎児を育むのは子宮内膜の気です。従って、子宮内膜過少、過多ると、着床(妊娠)したとしても、健康な胎児を育むことが出来なくなり、流産、早産し易くなります。
 

◆牛、豚、羊、鶏、乳製品過剰摂取すると、含まれている脂肪 卵巣、卵管、子宮蓄積し、流動性失い、固まる。

 

 脂は性です。過少、過多になった内臓親和性があります。人の体温よりも高い体温の動物の脂は、人の体の中に入ると、流動性を失い、固まります。牛は約 2℃、豚、羊は約3℃、鶏は 約6℃、 それぞれ人より高い体温を持っています。従って、これらの動物のは、過少、過多になった卵巣、卵管、子宮の細胞に蓄積し、終いには、流動性を失い、固まるのです。そして、下記のような困ったことが起こります。

 
卵巣では
 
 陰過少、過多になった卵巣脂肪蓄積し、<皮様(ひよう)嚢腫><成熟嚢胞性奇形腫>が出来ます。皮様(ひよう)嚢腫><成熟嚢胞性奇形腫>とは、まだ受精していないのにもかかわらず、卵巣中脂肪のかたまり、毛髪の束、骨、歯などが出来てしまう嚢腫です。大きさは直径10㎝未満で、左右両方の卵巣に同時に発生する事もあります。20~30代の若い人特に多く健康卵子を育てることが出来ません。詳しくは下記ブログを参照して頂くと分かり易いです。  

shinkyu-igaku.hatenablog.com

卵管では

 

 陰性の脂が過少過多になった卵管に蓄積し、<卵管狭窄と閉塞>が起こります牛、豚、羊、鶏のは、卵管に蓄積し、流動性を失い、内腔で固まるのです。受精と受精卵の成長の障害になります。詳しくは下記ブログを参照して頂くと分かり易いです。 

 

shinkyu-igaku.hatenablog.com

子宮では 

 
 陰性の過少、過多となった子宮内膜蓄積し、終いには、流動性を失い、表面で固まり、受精卵の成長(桑実胚から胚盤胞へ)、着床(妊娠)と胎児の成長の大きな障害になります。子宮内膜に関しては、下記ブログを参照して頂くと分かり易いです。
   

shinkyu-igaku.hatenablog.com

 

あとがき

 

 肝臓と腎臓が弱ると、卵巣、卵管、子宮が過少、過多となり、卵胞の生育、排卵、受精、受精卵の(桑実胚から胚盤胞への)生育、子宮内膜への着床(妊娠)、胎児の成長に様々な障害が起こり<女性の不妊症と不育症>原因になっていることを解説しました。

 

 牛、豚、羊、鶏、乳製品を過剰摂取すると、含まれている脂肪が 卵巣、卵管、子宮に蓄積し、流動性を失い、固まります。それが様々な障害を生み、<女性の不妊症と不育症>のもう一つの原因になっていることを解説しました。

 
 西洋医学による <女性の不妊症と不育症>治療は上手くいっていません。その一番の原因は、<腎臓の気が人 (肉体)を生み出す>と言うことに、全く気づいていないことにあります。
 
 ホルモン気です。ホルモンに出来ることは、コントロールすることだけで、そのものを生み出すことは出来ません。従って、人 (肉体)を誕生させることも出来ないのです。
 
 <不妊症と不育症>の女性はもともと腎臓不足しています。ホルモン治療をしても腎臓そのものを生み出すことは出来ません。ホルモン治療でやっていることは<腎臓から無理やり気を吸い出しているだけ>なのです。
 
 <気が少ないものの、ある程度ある人>の場合は、最初の内、上手くいく場合もあります。なかなか上手くいかず、ホルモン治療繰り返している人の場合は、<腎臓を強制的に無駄使いしていることとなり更に減少していきます。そして、皮肉なことに、より妊娠出来ない体になってしまうのです。

 

 少子化の今の日本では、全くの死語になってしまいましたが、昭和二十年代までの日本には貧乏人の子沢山と言う格言がありました。戦前の日本は、多くの人が貧乏で、五、六人の子供がいることが珍しくありませんでした。困る程、子供に恵まれたのです。一方、少数のお金持ちは、どういう訳か、<子供が少なくて困っていました>。この不思議な現象を言葉で表現したのが<貧乏人の子沢山>と言う格言なのです。

 

 腎臓、肝臓を弱くする原因は、ストレス、過労、睡眠不足、食事など、色々有ります。中でも、とりわけ、食事の影響は大きなものがあります。戦前の日本の貧乏人とお金持ちの食事の一番大きな違いは、ひと言で言えば、<貧乏人は粗食><お金持ちは美食>だったと言うことです。

 

 粗食と美食の一番の違いは、タンパク質、脂肪、野菜の摂り方にあります。粗食は動物性タンパク質と脂肪が少なく、野菜が多い、一方、美食は動物性タンパク質と脂肪が多く、野菜が少ないと言うことです。

 

<女性の不妊症と不育症>

 

 動物性タンパク質と脂肪を摂り過ぎて、野菜が少ないと、腎臓、肝臓を弱めます。特に牛、豚、鶏などの動物性タンパク質の摂りずぎは腎臓を弱め、脂肪の摂り過ぎは肝臓を弱めます。野菜が少ないと体質全体を弱めます。程よい粗食が強い体質を作るのです。

 

 今の日本人の一般的な食事は 戦前の日本の、お金持ち以上の美食になっています。栄養が足りていないから不妊症と不育症>なのだと思いこみ、肉類や乳製品を更に多く摂取している人が多くいます。従って、(子育てが大変になったとは言え)今の日本には<子沢山>がほとんどいなくなり、逆に、色々な婦人科系疾患が増えてしまったのです。

 

 戦前はほとんど使われなかった農薬や、食品添加物などの化学物質も体内に入ってきますから、それらの悪影響も決して無視することは出来ないでしょう。