<青汁が健康に良いって本当??>その<危険な落とし穴>について解説します。
こはじめに
サプリメントがブームになっています。心身の何処にも異常が無く、健康に生きているという人はそうはいません。多くの人が既に病気にかかっています。まだ病気と宣告されていない人でも、現在感じている体調不良と、将来かかる恐れのある病気に対して不安を抱きながら生きています。
西洋医学が慢性病の予防と治療に上手く対応できていないという、困った現実が、このブームに拍車をかけていると言って良いでしょう。
足りない栄養素を補ったり、大事な栄養素を沢山摂取すれば、<現在かかっている病気と体調不良を少しでも良くする事ができるのではないか、あるいは、健康になって将来の病気の予防につながるのではないか>との期待を込めて、多くの人がサプリメントを摂取しています。
サプリメントは食べたり飲んだりするだけで良いのですから、時間も手間もかからず、簡単です。さほどの努力も必要ありません。価格も程々ですから、手軽に始められ、継続することも容易です。
しかし、残念ながら、効果を実感できるほどのサプリメントはそうありません。それにもかかわらず、多くの人がそれなりのサプリメントを、良しとして継続しています。そこには<健康に良い栄養素が沢山入っているのだから、効いているに違いない>との強い思いがあるからだと思われます。
西洋医学では、<健康に良い栄養素を多く含んでいる食品を沢山摂取すれば、健康になる>としています。従って、各メーカーは<健康に良い栄養素の種類と、量の多さ>を、一番価値あるものとして成分表の中で強調しています。購入者は、それを見て、これなら<健康に良いに違いない>と信じて購入しているのです。
<青汁>は代表的なサプリメントの一つです。その多くは、明日葉、ケール、大麦若葉などの植物の葉を主原料として造られています。従って、一般的には、<安全で、健康にとても良いもの>と受け止められています。
成分表を見ると、健康に良いとされる多くの成分が強調して表示されています。大変効きそうに見えます。しかし、効果を実感できるほどの<青汁>はそうありません。
中には、腹痛、下痢、お腹のもたれなどの、副作用がでる人もいます。しかし<安全で、健康にとても良いもの>との思いが強いだけに、量を減らして我慢しながら飲み続けている人がいるのも現実です。
健康に良いとされる栄養素を沢山含む<青汁>は、はたして<本当に健康に良い??>のでしょうか。
<青汁>の副作用としてはっきり分かっていることもあります。ビタミンKは、血液を固める物質を作るときに働くビタミンです。従って、 血栓(血の塊)ができるのを予防する抗血栓薬であるワーフアリンなどを服用している人がビタミン K を多く含む青汁を飲み過ぎると、血栓が出来やすくなるのです。
腎臓の働きが低下するとカリウムの排泄が悪くなります。従って、腎臓の働きが低下した人がカリウムを多く含む青汁を飲み過ぎると、カリウムが身体に蓄積し、高カリウム血症を引き起こすことがあるのです。
鍼灸医学では 、<健康に良い栄養素の種類と、量の多さ>を、その食品の一番の価値とはしません。一番の価値は、その食品が本当に<体質に合っているかどうか>ということにあります。
健康に良いとされる栄養素を、いかに沢山含んでいても、体質に合わなければ、有害であるとするのです。そして、たとえ体質に合った栄養素であっても、適量を超えて摂取すればれば、これまた身体に有害であるとするのです。
易の陰陽論を用いれば、疑問符の付く様々なテーマに対して、納得のいく答えを導くことがことができます。
本ブログでは、易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で<青汁が健康に良いって本当??>と言うテーマに対して、納得のいく答えを導くことにします。明日葉やケールを主原料とする<青汁>に<危険な落とし穴>があるということが分かります。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽があります。全ての物は、陰と陽を調和させることによって成り立っています。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
◆エネルギーに陰陽がある
・陰気は、冷却する、鎮める、膨張する、緩む、伸びる、広がる、吸収する、などの(陰の)性質があります。
・陽気は、加熱する、活発にする、引き締める、収縮する、縮む、排出する、などの(陽の)性質があります。
生き物の持つ細胞には以下の様な陰陽が有ります。
◆生き物に陰陽がある。
・人は植物に対して陽。
・植物は人に対して陰。
◆人にも陰陽がある
・女は男に比べて陰、男は女に比べて陽
・老人は若者に較べて陰、若者は老人に較べて陽
◆人の体質にも陰陽がある
・体力のない(陽不足の) 人は、体力のある(陽体質の)人に較べて陰
・体力のある(陽体質の)人は、体力の無い(陽不足の)人に較べて陽
陰の植物にも、以下の様な要素別陰陽があります。
要素には、 育つ土地の気温、育つ季節、葉の厚みと大きさ、全体の背丈、があります。
◆育つ土地の気温による陰陽がある。
・気温の高い(温暖な)土地で育つ植物は、気温の低い (寒冷な)土地で育つ植物に対して陰
・気温の低い (寒冷な)土地で育つ植物は、気温の高い(温暖な)土地で育つ植物に対して陽
◆育つ季節による陰陽
・夏に育つ植物は、冬に育つ植物に対して陰
・冬に育つ植物は、夏に育つ植物に対して陽
◆葉の厚みと大きさと成長速度による陰陽
・厚く大きく、成長速度の速い葉は、薄く小さく、成長速度の遅い葉に対して陰
・薄く小さく、成長速度の遅い葉は、厚く大きく、成長速度の速い葉に対して陽
◆全体の背丈による陰陽
・背丈の高いものは低いものに対して陰、
・背丈の低いものは高いものに対して陽
<青汁>の主原料として使われている大麦若葉、ケール、明日葉、の要素別陰陽について以下解説します。
◆育つ土地の気温や季節による陰陽
・大麦若葉は陽
福井県、富山県、茨城県が主な産地です。温暖地でもなく寒冷地でもありません。冬に育ち 2月が旬です。従って、大麦若葉は陽です。
・ケールは陰
島根県、岡山県、福岡県、大分県、鹿児島県が主な産地です。やや温暖地です。夏に育ちます。従って ケールは陰です。
・明日葉は陰陰
八丈島、伊豆諸島が産地です。温暖地です。従って、明日葉は陰陰です。
◆葉の厚みと大きさと成長速度による陰陽
・大麦若葉は陽
薄く、小さく、成長速度が遅い大麦若葉は陽です。
・ケールは陰
厚く、大きく、成長速度が速いケールは陰です。
・明日葉は陰陰
厚く、大きく、成長速度が非常に速い明日葉は陰陰です。
◆全体の背丈による陰陽
・大麦若葉は中庸
大麦若葉は背丈が高くも低くもない。従って、中庸 (陰陽の中間)です。
・ケールは中庸
ケールは背丈が高くも低くもない。従って、中庸 です
・明日葉は陰
明日葉は背丈が高い植物です。従って、陰です。
◆陰の植物である大麦若葉、ケール、明日葉、の陰陽を総合評価すると、以下の様になります。
・大麦若葉は 陽陰
・ケールは 陰
・明日葉は 陰陰
◆大麦若葉、ケール、明日葉を原料にした<青汁>の陰陽評価は下記のようになります。
・大麦若葉を原料にした<青汁>は 陽陰
・ケールを原料にした<青汁>は 陰
・明日葉を原料にした<青汁>は 陰陰
飲食物の陰陽の影響で、身体に以下のようなことが起こります。
◆ 体細胞が緩むと、慢性病になる
体細胞の中に疲労物質や毒素が蓄積し、体外に排出できなくなると、慢性病になります。細胞が緩むと、疲労物質や毒素がより多く細胞に蓄積し、慢性病になるのです。
◆陰と陰陰の飲食物が多くなると陰体質になり、慢性病になり易くなる。
サプリメントも含め、陰と陰陰の飲食物が多くなると体質が悪化し、陰体質になります。細胞が緩み、疲労物質や毒素がより多く細胞に蓄積し、より慢性病になり易くなるのです。
◆健康を維持する為には、陰と陰陰の飲食物の摂取を出来るだけ控える。
健康を維持する為には、体細胞が緩まないようにする必要があります。陰と陰陰の飲食物の摂取を出来るだけ控えなければなりません。細胞が引き締った状態が健康なのです。
◆慢性病を治す為には、陰との陰陰の飲食物の摂取を極力控える
慢性病を治す為には、緩んでしまった細胞を引き締める必要があります。陰と陰陰の飲食物の摂取を極力控え、 細胞に蓄積した疲労物質や毒素を排出しなければなりません。
◆大麦若葉、ケール、明日葉を原料にした<青汁>を毎日摂取すると、それぞれ、以下の様な体質の変化が起こります。
・大麦若葉を原料にした<青汁>は体質を悪くしない。
大麦若葉を原料にした<青汁>は 陽陰です。 従って、体細胞を緩めず、体質を悪くしません。
・ケールを原料にした<青汁>は体質を悪化させる。
ケールを原料にした<青汁>は陰です。従って、体細胞を緩め、体質を悪化(陰体質に)させます。
・明日葉を原料にした<青汁>は体質を大いに悪化させる。
明日葉を原料にした<青汁>は陰陰です。従って、体細胞を大いに緩め、ケールの<青汁>以上に体質を悪化(陰陰体質に)させます。
◆陰の人は、ケールや明日葉を原料にした<青汁>の影響を強く受け体質をより悪化させる。
女の人、老人、体力の無い(陽不足の)人は陰です。これらの陰の人は陽の人よりも陰の影響を強く受けます。ケールを原料にした陰の<青汁>で体質を悪化 (陰体質に)させ、明日葉を原料にした陰陰の<青汁>はケール以上に体質を悪化 (陰陰体質に)させます。
◆ケールを原料にした陰の<青汁>と、明日葉を原料にした陰陰の<青汁>を摂取すると、以下のような陰の体調不良と陰の慢性病を招きます。
- 倦怠感、無気力、食欲不振、冷えのぼせ、内臓下垂、便秘、大腸憩室、軟便、腹痛、下痢、痔、貧血、低血圧、むくみ、頻尿、尿路結石、関節痛、腰痛、肩こり、不眠、頭痛、耳鳴り、精神不安、うつ病、陰性のがん、
◆強い陽体質の人の場合は、、ケールや明日葉を原料にした陰や陰陰の<青汁>でも体質に合う可能性はある。
強い陽体質の人の陽と、ケールや明日葉を主原料にした<青汁>の陰や陰陰が調和して体質悪化を招かない可能性はあります。個人差が有りますから、試しに何日間か試飲して、体質に合うかどうか十分チェックした後に、摂取して良いかどうか判断すべきでしょう。
まとめ
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で、<青汁が健康に良いって本当??>と言うテーマに答えを導き、その<危険な落とし穴>について解説しました。
<健康に良い栄養素を多く含んでいる食品を沢山摂取すれば、健康になる>とする、西洋医学の考えに基づき、陰のケールや陰陰の明日葉を主原料とする<青汁>を摂取すると、体質悪化 (陰体質、陰陰体質)を招き、様々な陰の体調不良と陰の慢性病を招くことになると解説しました。ここに<危険な落とし穴>があるのです。体力のない(陽不足の) 人の場合は特に大きな悪影響を受けることになります。
陰のケールや陰陰の明日葉は成長速度が速い植物です。従って、ケールや明日葉を主原料にすると、原料を低価格で購入できます。<健康に良い栄養素を多く含んでいる食品を沢山摂取すれば、健康になる>とする西洋医学の誤った考えは、このような<青汁>メーカーにとってみれば、安上がりに製造できるので、大変有難い考えなのです。
あとがき
陰の葉物野菜を生で摂るという食習慣は、牛、豚、鶏の肉の陽毒を消す為のものです。かっての日本には、夏の暑い時に体を涼しくする為、程よく葉物野菜を生で摂るという食習慣はありました。しかし、牛、豚、鶏の肉を多食していなかったので、葉物野菜を生で摂るという食習慣はほとんど無かったのです。
葉物野菜に多く含まれるカリウムは陰元素の代表です。一方、肉に多く含まれるナトリウムは陽元素の代表です。カリウムを過剰摂取すると陰過剰体質となり、陰病を招きます。ナトリウムを過剰摂取すると陽過剰体質となり、陽病を招きます。つまり、 葉物野菜を生で摂るという食習慣は、肉に多く含まれるナトリウをカリウムで程よく中和させて健康を維持し、病気に罹らないようにする為の<生活の知恵>だったのです。
牛、豚、鶏の肉を多食していなかった、かっての日本人は、ナトリウムの摂取量が少なかったので、葉物野菜を軽く茹で、ゆで汁の中に溶け出たカリウムを捨てることによって、カリウム過剰になるのを防いでいたのです。
<青汁>の中には大量のカリウムが入っています。従って、肉を多食する人にとっては<青汁>を摂る意義はあります。しかし、肉を多食しない人にとっては<青汁>を摂る意義はほとんどありません。栄養だけで食品の価値を判断してしまい、身体の陰陽の調和が計れるかどうかと言う考えが全く無い西洋医学の<危険な落とし穴>がここにあるのです。
肉を多食すると陽過剰体質となり、陽病を招きます。従って、肉を多食する人にとっては <青汁>を摂る意義はあります。しかし、陰過剰体質になるのを避ける為、陰のケールや陰陰の明日葉を原料としていない<青汁>を選択する方が良いでしょう。
最後に、ケールや明日葉を使わずに大麦若葉だけで作らている青汁を紹介します。