<子宮内膜症>でお困りの貴方に その<原因と対策> 易の陰陽論で解説します。
はじめに
子宮内膜は女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)の働きで、増殖、肥厚します。その後、妊娠しなければ、剥離し、月経となって体外に排出されます。
<子宮内膜症>は、この子宮内膜が正規の子宮内腔ではなく、骨盤内の腹膜や、卵管、卵巣にも発生してしまい、月経時にそれらの組織の中にも出血してしまうという病気です。
悪化すると、膀胱、直腸、小腸などの骨盤内臓器に留まらず、肺などにも発生する事があります。不妊症の人の20~30%に見られ、不妊症の大きな原因にもなっています。
西洋医学では、原因として、子宮内膜移植説や体腔上皮化生説などが挙げられていますが、本当の原因は不明とされています。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で腎臓、肝臓の弱りが<子宮内膜症>の原因であることを解説します。体質改善の対策も見えてきます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽があります。全ての物は、陰と陽を調和させることによって成り立っています。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
◆腎精が精神、肉体、エネルギーのおおもと
鍼灸医学では、<腎臓は精を蔵す>と言います。精を腎臓の中に蓄えているとするのです。それを腎精と呼びます。両親から頂いた先天の腎精と、飲食物と大気から作り出される後天の腎精の二つが合わさり、腎精が形成されます。その腎精が人の精神、肉体、エネルギーのおおもとになるのです。
◆エネルギーに陰陽がある
腎臓が蓄えている腎精から、陰のエネルギーの腎陰と、陽のエネルギーの腎陽の二つが生まれます。
・腎陰は、冷却する、鎮める、膨張する、緩む、伸びる、取り込む、物質(細胞など)を生み出す、副交感神経を活性化する、などの性質があります。
・腎陽は、加熱する、活発にする、収縮する、縮む、排出する、交感神経を活性化する、などの性質があります。
◆全ての内臓は陰気と陽気の二つのエネルギーを増減、調和させながら働く。
全ての内臓は、腎陰から供給される陰気と、腎陽から供給される陽気の二つのエネルギーを増減、調和させながら働いています。
◆ホルモンは陽性
ホルモンは腎陰から生まれ、活性化作用があります。従って、ホルモンは陽性です。
◆女性ホルモンにも陰と陽がある。
卵胞ホルモンは低温相に多く分泌されます。腎陰を増やし、で内膜を増殖、肥厚させ卵胞の成熟と排卵を促します。従って、卵胞ホルモンは陰陽性です。
黄体ホルモンは排卵後の高温相に多く分泌されます。腎陰を更に増やし、温度を上げて受精の準備を整えるのです。 従って、黄体ホルモンは陽陽性です
◆子宮は内膜に細胞と熱を蓄積し、月経として放出する、これを繰り返す臓器
以下の蓄積と放出を繰り返します。
・低温相から高温相にかけて卵胞ホルモンの作用で、腎陰を増やし、血管を拡張、させ、内膜を冷却、増殖、肥厚させます。言わば、妊娠の為の床作りです。
・黄体ホルモンの陽気の作用で、内膜と血液を急速に過熱させます。(この時、内膜は増殖、肥厚したままです)受精に備えてエネルギー を注入するのです。
・ 受精しなかったとなると、卵胞ホルモンと黄体ホルモン(特に卵胞ホルモン)を急速に減少させます。腎陰が減少すると内膜の細胞は崩壊していきます。その後、黄体ホルモンの陽気の作用で、内膜を収縮、排出し、蓄積された細胞と熱を排出するのです。これが月経です、
腎臓が弱ると、以下の事が起こります。
◆弱った腎臓が無理に働くと、腎陰が減少し、内膜の温度が上昇する。
腎陰が減少すると内膜の陰気が減少し、陽気過剰となり温度が上昇します。
腎陰から生まれる卵胞ホルモンは不足した状態です。
◆腎臓の弱りが進行すると、内膜が過熱し、その熱が子宮を取り巻く周囲の内臓に拡散していく。
腎臓の弱りが進行すると、腎陰と内膜の陰気が更に減少します。すると内膜が過熱し、その熱が子宮を取り巻く周囲の内臓に拡散していくのです。
肝臓が弱ると、以下の事が起こります。
◆弱った肝臓が無理に働くと、肝血の温度が上昇する。
鍼灸医学では肝臓は血液の貯蔵タンクとします。大量の血液(肝血と呼びます)貯蔵します。活動温度は約42度Cと高温です。弱った肝臓が無理に働くと肝陰が減少し、肝陽が亢進します。すると肝血の温度が上昇します。
◆肝臓の弱りが進行すると、高温になった肝血が全身に供給される。
肝臓の弱りが進行すると、肝血の温度が更に上昇します。そして、高温になった肝血が全身に供給されます。
◆高温になった肝血が生殖器とその周囲に蓄積していく。
生殖器は大量の血液を必要とします。従って、血液の影響を強く受けます。生殖器だけでなく、骨盤内の腹膜、膀胱、直腸、小腸などにも、肝血が蓄積していきます。
高温になった肝血が蓄積している内臓を病気から守る為、以下の事が起こります。
高温になった肝血が蓄積している内臓に<子宮内膜を止むを得ず作り>蓄積した細胞と熱を月経時に排出するのです。これが<子宮内膜症>の真の姿なのです。
あとがき
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で腎臓、肝臓の弱りが<子宮内膜症>の原因である事を解説しました。
腎臓、肝臓の弱りが進行すると、骨盤内の腹膜、膀胱、直腸、小腸にまで熱が蓄積します。熱が蓄積した内臓に<子宮内膜を止むを得ず作り>蓄積した細胞と熱を月経時に内膜と共に排出し、<内臓を病気から守ろうとする>のです。これが<子宮内膜症>の真の姿なのです。
戦前の日本では婦人科系疾患を<血の道症>と呼んでいました。<肝臓は血液の貯蔵タンク>です。月経、妊娠、出産は大量の血液を必要とします。従って、<血の道症>と言う言葉は<肝臓が弱ると婦人科系疾患を患いますよ>と言うことを意味していたのです。
少子化の今の日本では、全くの死語になってしまいましたが、昭和二十年代までの日本には<貧乏人の子沢山>と言う格言がありました。戦前の日本は、多くの人が貧乏で、五、六人の子供がいることが珍しく有りませんでした。困る程、子供に恵まれたのです。
一方、少数のお金持ちは、どういう訳か、子供が少なくて困っていました。この不思議な現象を言葉で表現したのが<貧乏人の子沢山>と言う格言なのです。
腎臓、肝臓を弱くする原因は、ストレス、過労、睡眠不足、食事など、色々有ります。中でも、とりわけ、食事の影響は大きなものがあります。戦前の日本の貧乏人とお金持ちの食事の一番大きな違いは、ひと言で言えば、<貧乏人は粗食>で<お金持ちは美食>だったと言うことです。
粗食と美食の一番の違いは、タンパク質、脂肪、野菜の摂り方にあります。粗食は動物性タンパク質と脂肪が少なく、野菜が多い、一方、美食は動物性タンパク質と脂肪が多く、野菜が少ないと言うことです。
動物性タンパク質と脂肪を摂り過ぎて、野菜が少ないと、腎臓、肝臓を弱めます。特に牛、豚、鶏などの動物性タンパク質の摂りずぎは腎臓を弱め、脂肪の摂り過ぎは肝臓を弱めます。野菜が少ないと体質全体を弱めます。<程よい粗食が強い体質を作る>のです。
今の日本人の一般的な食事は 、戦前の日本の、お金持ち以上の美食になっています。従って、(子育てが大変になったとは言え)今の日本には<子沢山>がいなくなり、<子宮内膜症>のような婦人科系疾患が増えてしまったのです。
戦前はほとんど使われなかった農薬や、食品添加物などの化学物質も体内に入ってきますから、それらの影響も決して無視する事は出来ないでしょう。