人の<命>の<誕生>と<終焉>と<継承>のメカニズムを易の陰陽論で解説します
はじめに
易の陰陽論に基づけば、世界は真反対の性質を持ったの二つに分けられます。目に見えない<陰の世界>と目に見える<陽の世界>です。<陰の世界>とは陽の<エネルギー>の世界です。<陽の世界>とは陰の<物質>の世界です。
人は生きています。生きているということは<命>によって生かされているということです。<物質>だけでは<命>を生み出すことは出来ません。<物質>と<生きるエネルギー>が融合、一体化することによってのみ<命>を生み出すことが出来るのです。
<霊>は<陰の世界>に属する<エネルギー>です。人の<命>を生み出す元になる<エネルギー>です。<陽の世界>の陰の<物質>と<陰の世界>の陽の<エネルギー>である<霊>が融合、一体化することによって<命>を持った人が誕生し、生きることが出来るのです。
易の陰陽論を用いて<人の命の 誕生から終焉を迎えるまで>のメカニズムと<人の命の継承>のメカニズムについて解説します。「自分がどのようにして誕生したのか、そして亡くなった後どうなるのか?」という難解なテーマに対して一つの答えを見出すことができます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽があります。全ての物は、陰と陽を調和させることによって成り立っています。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
◆世界は真反対の性質を持った目に見えない<陰の世界>と目に見える<陽の世界>の二つから成り立つ。
<陰の世界>と<陽の世界>が対を成します。
◆<陰の世界>は無限、<陽の世界>は有限。
陽の<エネルギー>の世界は無限、陰の<物質>の世界は有限です。
◆陰の<物質>と陽の<エネルギー>は真反対の性質を持っている。
<物質>と<エネルギー>が対を成します。
以下、<人の命の 誕生から終焉を迎えるまで>のメカニズムを解説します。
◆人にも陰陽がある。
女は男に対して陰、男は女に対して陽です。
◆<卵子は陽陰>
女から卵子が生まれます。卵子は球形です。陽の典型です。<陰(女)極まって陽(卵子)を生ず>と言う、易の基本思想の典型です。卵子は基本的には<物質>ですから陰です 。従って、<卵子は陽陰>なのです。
◆<精子は陰陰>
男から精子が生まれます。精子は細長い形状です。陰の典型です。<陽(男)極まって陰(精子)を生ず>と言う、易の基本思想の典型です。精子は基本的には<物質>ですから陰です。従って、<精子は陰陰>なのです。
◆陽の<霊>にも陰陽がある。
<陰陽の霊>と<陽陽の霊>があります。
◆<陰陽の霊>は卵子と親和性があり融合、一体化し、卵子に<命>が宿る。
<卵子は陽陰>です。従って<陰陽の霊>と親和性が有ります。これらが融合、一体化すると、卵子に<命>が宿るのです。
卵子一個に一つの <陰陽の霊>が融合、一体化します。これを<卵子霊>と呼ぶこととします。
◆<陽陽の霊>は精子と親和性があり融合、一体化し、精子に<命>が宿る。
<精子は陰陰>です。従って、<陽陽の霊>と親和性があります。
これらが融合、一体化すると、精子に<命>が宿るのです。これを<精子霊>と呼ぶこととします。
精子の数は億単位です。しかも、一個として同じ精子は無く、全て異なります。それぞれの精子に融合、一体化する <精子霊>も全て異なり、億単位の数になります。
億単位の<精子霊>が既に、体と融合、一体化しているのです。
◆<命>の宿った卵子と精子が融合、一体化し胎児に<命>が宿る。
陽陰の卵子と、陰陰の精子は親和性があります。卵子と一番良く調和する(相性の良い)精子が数億の精子の中から選ばれ、融合、一体化し、胎児に<命>が宿るのです。これが受胎です。受胎時の<卵子霊>、<精子霊>が一体化した霊を<受胎霊>と呼ぶこととします。
◆<霊>は<霊>を呼ぶ
肉体の成長に従って、<霊>も成長していきます。<受胎霊>から始まり、<霊>の種類と、<エネルギー>の量も増加していきます。
◆<善い受胎霊>は<善い霊>を呼び、<悪い受胎霊>は<悪い霊>を呼ぶ。
<受胎霊>は思いを実践してくれそうな<霊>を選びます。従って、<善い受胎霊>は<善い霊>を呼び、<悪い受胎霊>は<悪い霊>を呼びます。
◆善行を積めば、<善い霊>が集まり、<善いエネルギー>が増加し 、悪行を積めば、<悪い霊>が集まり、<悪いエネルギー>が増加する。
努力する、勉強する、節制する、周りの人のた為に尽くす、などの善行を積めば、<善い霊>が集まり、<善いエネルギー>が増加します。
怠ける、不摂生な生活をする、利己的に生きる、悪事を働く、などの 、悪行を積めば、<悪い霊>が集まり、<悪いエネルギー>が増加します。
◆<善い霊>が集まり、<善いエネルギー>が増加すれば、運勢が上り、幸せな人生になる。
運勢が昇れば、健康になり、仕事も上手くいき、周囲に善い人が集まり、幸せな人生になります。
◆ <悪い霊>が集まり、<悪いエネルギー>が増加すれば、運勢が降り、不幸な人生になる。
運勢が降ると、病気をしたり、 仕事に失敗したり、周囲に悪い人が集まり、不幸な人生になります。
◆ 肉体の衰えと共に、<霊>は減少していき、余った<霊>は他の人に移行し、融合、一体化していく。
衰えた肉体に必要な分だけの<霊>を残し、余った<霊>は他の人に移行し、融合、一体化していきます。
◆<善い霊>は善行を積む<善い人>を選び、<悪い霊>は悪行を積む<悪い人>を選ぶ
<霊>は思いを実践してくれそうな人を選びます。 善かれ悪しかれ、<霊>にふさわしい人を選んで移行していくのです。
◆人が亡くなると共に<霊>は肉体から完全に離れ、他の人に移行し、融合、一体化する。
<霊>は<霊>のみでは存在出来ません。肉体と不可分です。融合、一体化する肉体をいつも必要とします。
◆<自然死>をした場合は<霊>の移行はスムーズに行われる。
肉体の衰えに合わせて、<霊>は他の人にスムースに移行し、融合、一体化していきます。
◆急な<不自然死>をした場合は<霊>の移行がスムーズに行われない。
事故死、突然死、急死、自殺などの急な<不自然死>をした場合は、<霊>の移行がスムーズに行われません。他の肉体に移行できなかった残りの<霊>は<陰の世界>をさまよった後、次第に消滅していきます。お世話になった<霊>にご恩返しする為にも<自然死>することが望ましいのです。
以下、<命の 継承>のメカニズムについて解説します。
「自分がどのようにして誕生したのか、そして亡くなった後どうなるのか?」という難解なテーマに対して答えを見出すには、<命の 継承>のメカニズムを理解する必要があります。更に、陰陽論で解説します。
◆<無限に拡散>は陰、<有限に凝集>は陽
この二つが陰陽の対を成します。
◆全ての物は<無限に拡散>と<有限に凝集>を繰り返す。
陰極まって陽、陽極まって陰、これも 易の基本思想の一つです。永遠に<無限に拡散>と<有限に凝集>の二つを繰り返すのです。
◆自分は<無限に拡散>した無数のご先祖様から<有限に凝集>した極まった存在。
仮に、一世代を25年として、ご先祖様の数を算出すると、下記のようになります。26世代 (650年)前の世代の人だけでも一億人を超えてしまいます。自分のご先祖様の総数は、全ての世代の人数の総和になりますから、楽に二億人を超えます。従って、ご先祖様の総数は<無限>と言ってい良いのです。つまり、<無限に拡散>した無数のご先祖様から<有限に凝集>し極まった存在が自分と言ことなのです。<霊>もまた同じです。
さかのぼる ご先祖様の
世代数 年数 人数
0 0歳 2人
1 25年前 4人
2 50年前 8人
3 75年前 16人
4 100年前 32人
5 125年前 64人
6 150年前 128人
7 175年前 256人
8 200年前 512人
9 225年前 1,024人
10 250年前 2,048人
11 275年前 4,096人
12 300年前 8,196人
13 325年前 16,392人
14 350年前 32,784人
15 375年前 65,568人
16 400年前 131,136人
17 425年前 262,272人
18 450年前 524,544人
19 475年前 1,049,088人
20 500年前 2,098,176人
21 525年前 4,196,352人
22 550年前 8,392,704人
23 575年前 16,785,408人
24 600年前 33,570,816人
25 625年前 67,141,632人
26 650年前 134,283,264人
◆<有限に凝集>した自分は、無数の子孫に<無限に拡散>していく存在。
ご先祖様の場合と同じ条件で考えれば、将来の子孫の数も、ご先祖様の場合と同じように、まさしく、<無限>と言って良いのです。つまり、<有限に凝集>した自分は、いずれ、無数の子孫に<無限に拡散>していく存在なのです。<霊>もまた同じです。
無数の精子が卵子に向かって<無限に拡散>し、迎える卵子は一個に<有限に凝集>します。無数の<霊>が無数の精子に<無限に拡散>し、一個の<霊>が一個の卵子に<有限に凝集>するのです。
◆人は<有限に凝集>し受精卵となり、受精卵が<無限に拡散>し人となり、これを繰り返す。
人は<霊のエネルギー>で<有限に凝集>し受精卵を生み、<無限に拡散>し人となるのです。そして、これを繰り返す永遠の存在なのです。
あとがき
無限の世界の<エネルギー>である<霊>と有限の世界の<物質>が、融合、一体化し、<無限の拡散>と<有限の凝集>を繰り返すことによって、人の<命>が<誕生>し、<終焉>を迎え、<継承>されていくのです。
肉体は<終焉>迎えても、<卵子>と<受胎霊>により新たな<命>が<誕生>し<継承>されていきます。
<無限に拡散>した無数のご先祖様から<有限に凝集>したのが自分であり、その自分が、やがて、無数の子孫に<無限に拡散>し、これを繰り返すのです。
<無限に拡散>することにより<混沌>が生まれ、それが<有限に凝集>して<秩序>となります。<人>の<命>が<誕生>し、人生を全うし、やがて<終焉>を迎える、それが<秩序>なのです。
そして、<無限に拡散>し <混沌>に、戻っていきます。混沌の状態からのみ正解が導かれるのです。これを永遠に繰り返すことによって<命>が<継承>されていくのです。これが易の基本思想であり、自然の摂理なのです。
人為とは全く無縁な、この繰り返しが、いつまでも続くことを祈らざるを得ません。