高熱が出て、痛くてつらい<急性扁桃(腺)炎>本当の原因を解説します。
はじめに
喉は、体の入り口と言っても良い所です。扁桃とは、喉の奥の両側にある免疫器官です。
急性扁桃炎とは、喉の奥の両側にある扁桃が赤く腫れて、強い痛みや高熱に悩まさる感染症です。 常在 (体の中に常時生息して、普段は大人しくしているいる)菌が、どういう訳か扁桃の部分で繁殖してしまうのです。
子供や青年がかかり易い病気で、繰り返し易く、慢性化する場合もあります。しかし、高齢者がかかることは、ほとんどありません。
<急性扁桃炎>には以下のような、いくつかの何故?があります。
・何故? 扁桃だけが腫れるのか
・何故? 高熱(38~40度)が出るのか。
・何故? 大変痛いのか
・何故? 子供や青年に多く、高齢者にほとんど無いのか。
・何故? 常在菌(体の中に普段から生息している菌)が繁殖してしまうのか。
・何故? 扁桃に白い塊(膿栓)が出てくるのか。
・何故? 抗生剤を服用すれば数日で治ってしまうのか。
・何故? 繰り返し発症するのか。
・何故? 急性糸球体腎炎(むくみ、血尿、タンパク尿)、リウマチ熱(発熱、関節
痛)などの合併症を起こすことがあるのか。
これらの、何故?が分かると<急性扁桃炎>がどのような病気なのか、理解する事が出来ます。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で<急性扁桃炎>の発生メカニズムを解説します。<急性扁桃炎>の本当の原因、予防法、食事法が分かってきます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の生理、病理を理解する上で大変有用です。全ての物に正反対の性質を持った陰と陽が有ります。陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。
一方、陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい調和しようとしません。磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発しあい、異なる極は引き合うのと一緒です。
以下、【私の鍼灸医学】で腎臓と他の内臓の基本的な生理、病理について解説します。
◆腎臓が貯蔵している腎精が、人が生きるエネルギーのおおもと。
五臓は中に何かを貯蔵しているので臓と言います。腎臓は精を貯蔵しています。それを腎精と呼びます。人が生きるエネルギーのおおもとになります。
◆腎精から腎陰と腎陽の二つのエネルギーが生まれる。
・腎陰は、熱を冷ます、温度を下げる、涼しくする、鎮める、取り込む、菌を貪食する
(食べる)、などの働きがあります。
・腎陽は、加熱する、温度を上げる、活発にする、などの働きがあります。
◆内臓は熱 (活動熱)を生産しながら働く。
内臓は、自ら熱を生産し、活動しやすい温度 (適温)を維持しながら、働いています。
◆弱った内臓が無理に働くと過剰な活動熱発生し内臓が過熱する。
弱った内臓が無理に働くと、適温を超えた温度で働くことになるので、過剰な活動熱が発生し内臓が過熱します。
◆ 過剰な活動熱は内臓から放出され、上向し、体の上部のどこかに過熱した所が出来る。
内臓を守る為、過剰な活動熱を放出するのです。
◆過熱した所を冷ますのは腎陰の働き。
過熱した所は、うっ血し、血液循環が悪化し弱ってきます。過熱した所を冷まし、涼しくしするのは腎陰の働きです。血液循環を良くし、弱った所をもとに戻そうとするのです。
以下、【私の鍼灸医学】で肝臓と腎臓の基本的な生理、病理について解説します。
◆腎精から、肝陰と肝陽の二つの エネルギーが生まれる。
・肝陰は、肝臓の、熱を冷ます、温度を下げる、涼しくする、鎮める、取り込む、菌を
貪食する(食べる)、などの働きがあります。
・肝陽は、肝臓を、加熱する、温度を上げる、活発にする、などの働きがあります。
◆細菌を 貪食する(食べる)のは腎陰と、肝陰の働き。
腎陰と肝陰の働きが、いわゆる免疫力になるのです。
以下、【私の鍼灸医学】で腎臓、肝臓と扁桃の基本的な、生理、病理について解説します。
◆腎臓と扁桃は経絡でつながっている。
腎臓の経絡は上向して舌の根元をはさみ、両側の扁桃につながっています。
◆扁桃は、大人になるまでの期間限定で設けた、免疫器官 。
子供の腎臓、肝臓では、まだ免疫力が十分発揮出来ません。その為、体の入り口である口の中に、扁桃と言う免疫器官を期間限定で設けて、大人になるまでの間、外敵から身を守る役割を担わせるのです。
◆腎蔵、肝蔵が元気であれば、扁桃に侵入した菌は、楽に貪食出来る。
腎臓、肝臓が元気であれば、腎陰、肝陰が十分あるので、楽に貪食出来ます。従って<急性扁桃炎>になる事はありません。
◆腎臓、肝臓が弱ると、腎陰、肝陰が減少してしまい、貪食出来なくなり、仕方無く炎症を起こし、免疫力を上げ貪食する。
菌が身体の中に侵入しないよう、仕方なく炎症を起こし、免疫力を上げて貪食しようとするのです。これが<急性扁桃炎>です。
以下、<急性扁桃炎>の何故?について解説します。
・何故? 扁桃だけが腫れるのか
腎陰と肝陰の働きが、いわゆる免疫力になりす。扁桃と腎臓は経絡でつながっています。腎臓の出先の免疫器官として、扁桃に働いてもらうのです。
豊臣家と徳川家の間で戦われた<大阪冬の陣>に例えると分かり易いです。 <大阪城が腎臓>に、出城である<真田丸が扁桃>に相当するのです。徳川勢の攻撃を真田丸と言う出城で迎え撃ち、大阪城を守ろうと言う訳です。
・何故? 高熱(38~40度)が出るのか。
免疫力(貪食能力)を上げる為に、高温にする必要があるのです。腎臓、肝臓の弱い子供ほど、高熱が出てしまうのです。
・何故? 大変痛いのか
炎症の痛みです。温度が高い程、痛みは強くなります。熱が高ければ高いほど、大変痛い思いをします。
・何故? 子供や青年に多く、高齢者にほとんどないのか。
大人の腎臓、肝臓になれば、体全体の免疫機構が整備されますから、免疫器官としての扁桃の役割は終了するのです。
・何故? 常在菌(体の中に普段から生息している菌)が繁殖してしまうのか。
腎臓、肝臓が弱いと腎陰、肝陰が減少し、常在菌を貪食出来なくなるからです。
・何故? 扁桃腺に白い塊(膿栓)が出てくるのか。
貪食された常在菌をまとめたのが、白い塊となって出てくるのです。
・何故? 抗生剤を服用すれば数日で治ってしまうのか。
抗生剤で常在菌が死んでしまえば、炎症を起こす必要はもう無いからです。
・何故? 繰り返し発症するのか。
抗生剤で常在菌が死んでしまっても、腎臓、肝臓が丈夫になった訳ではありません
従って、また繰り返すのです。
・何故? 急性糸球体腎炎(むくみ、血尿、タンパク尿)やリウマチ熱(発熱、関節
痛)などの合併症を起こすことがあるのか。
鍼灸医学では急性糸球体腎炎とリウマチ熱の原因は腎臓とします。腎臓が大変弱っていると、これらの合併症を起こし易いのです。
あとがき
<急性扁桃炎>は、生まれつき腎臓、肝臓の弱い子供が起こし易い病気です。日常生活の中に、腎臓、肝臓に負担のかかる事があり、それが積もった時に発症します。繰り返し発症する子供は何とか体質改善をする必要が有ります。
無理の無い、規則正しい生活をすることが大事です。 飲食の注意は特に大事です。 それらを下記します。
・肉類を摂り過ぎない
・脂肪を摂り過ぎない
洋菓子、スナック菓子、菓子パン、チーズ、マヨネーズ、ピーナッツ、かりんとう、おかき、など
・タンパク質(肉類、豆類)を摂り過ぎない
・体質、季節に合った野菜を十分摂取する
・食物繊維を含む食品を十分摂取する
・五味(酸、苦、甘、辛、鹹)を摂り過ぎない
・過食しない
・間食は出来るだけ控える。
・良く噛む