過活動膀胱のメカニズムと 本当の原因、予防法、食事法を解説します
はじめに
病院に行って <急に尿意を催し我慢できずにトイレに駆け込む、間に合わずに漏れてしまう事がある> と訴えると 過活動膀胱 という病名が付くようになりました。
これまでに無かった病名です。最近、テレビコマーシャルなどに時々登場しますから、次第に認知されてきているようです。
2002年の初の調査によれば40歳以上の8人に一人、810万人がこの症状を持っているのだそうです。
高齢になるほど増える傾向に有りますから、高齢者にとっては身近でかつ悩ましい病気であると言えます。
病院で検査してもらい、排尿に関連した疾患が特に無ければ薬物、膀胱訓練、骨盤底筋訓練体操療法などが行われます。しかし、
膀胱訓練、骨盤底筋訓練体操療法はある程度の効果はあるものの、
残念ながら、薬物による治療は対症療法しか出来ませんから、
根本を治す事が出来ません。
長期に渡ると副作用でかえって症状が悪化する恐れもがあります。
腎臓の働きの低下が過活動膀胱の一番の原因になっています。
易の陰陽論と鍼灸医学を融合させた【私の鍼灸医学】で過活動膀胱のメカニズムとその原因、予防法、食事法について解説します。
◆排尿のメカニズム
膀胱にある程度尿が溜まると、膀胱筋肉が圧力を感知し神経を通じて脳に信号を送ります。その信号を脳が受信し、排尿するか否かを判断します。
排尿すべきと脳が判断すると、神経を通じて、脳から膀胱に信号が送られ尿意を催し、膀胱筋肉が収縮し排尿が行われます。
◆陰陽論とは
陰陽論とは易の基本思想の一つで、人間の様々な生理、病理を理解する上で大変有用です。
全ての物に正反対の性質を持った陰と陽があります。
陰と陽は互いに引き合い調和しようとします。一方、
陰と陰、陽と陽は互いに反発しあい、調和しようとしません。
磁石のS極とǸ極をイメージすると分かり易いです。同じ極は反発し、異なる極は引き
合あうのと一緒です。
◆人間は腎臓が蓄えている腎精で生きる。
<肝腎かなめ 肝腎同源>で既に解説したように、人間は腎臓が蓄えている腎精で生きています。
◆腎精から陰のエネルギーの腎陰と陽のエネルギーの腎陽が生まれる。
腎陰が沈静化するエネルギー、腎陽が活性化するエネルギーです。
◆腎陰の土台があって初めて腎陽はエネルギーを発揮できる。
西洋医学には全くない考えです。
詳しくは、以下のブログを参照願います。
◆膀胱は腎陰から膀胱の陰気を、腎陽から膀胱の陽気を生み出して活動する。
膀胱の陰気が膀胱を沈静化するエネルギー、膀胱の陽気が膀胱を活性化するエネルギーです。
◆脳は腎陰から脳の陰気を、腎陽から脳の陽気を生み出して活動する。
脳の陰気が脳を沈静化するエネルギー、脳の陽気が脳を活性化するエネルギーです。
◆年齢と共に腎臓が弱り腎陰が減少する。
年齢と共に生きる土台となる腎陰が減少してきます。
◆腎陰が減少すると膀胱と脳の陰気が減少する
膀胱と脳に送られてくる腎陰が減少しますから膀胱と脳の陰気が減少します。
◆膀胱と脳の陰気が減少すると膀胱と脳が過熱、うっ血する。
膀胱と脳の陰気が減少すると、陰陽のバランスが崩れ、膀胱の陽気と脳の陽気が過剰となり過熱、うっ血します。
◆膀胱と脳が過熱、うっ血すると過剰な誤信号が相手に送られる。
過熱、うっ血していると信号が過剰になります。
実際よりも多い尿が膀胱に溜まっているという誤信号が脳に送られます。
脳からも増幅された排尿誤信号が膀胱に送られます。
◆過剰な誤信号が膀胱に送られた結果、膀胱筋肉の急激な収縮が起こり排尿してしまう。
尿がそれ程溜まっていないのに、沢山溜まっているかのような過剰な誤信号が膀胱に送られてくるのです。その結果、膀胱筋肉の急激な収縮が起こり、我慢できずに排尿してしまうのです。これが過活動膀胱のメカニズムなのです。
まとめ
◆ 高齢その他の事情により腎臓の働きが低下すると膀胱と脳が過熱、うっ血する。
◆膀胱と脳が過熱、うっ血すると、過剰な誤信号が脳と膀胱に送られ、尿がそれ程溜まっていないのに膀胱筋肉の急激な収縮が起こり、我慢できずに排尿してしまう。
◆過活動膀胱を予防するには腎臓の働きを良い状態に保つことが大事
腎臓の働きを良い状態に保つのに大事なことを下記します。
・ストレス(特に恐れと驚き)と過労に注意
・夜、冷える所で立ち仕事、は特に腎臓に良くない
・適度に運動し良い睡眠をとる。
・肉類、脂肪、タンパク質、塩分の過剰摂取に注意
・野菜類を十分摂取する
・過食しないよう注意